【生成型AI】これだけツールが進化したいま、もし大学院生に戻るならどう論文を作るか

生成型AIは、もはや研究の周辺作業を支える道具ではなく、研究そのものを共に進める相棒になりつつあります。数年前には想像もしなかったスピードで論文がまとまり、着想から発表までの道のりが一気に短くなりました。

AIが提案し、AIが分析し、AIが文章を紡ぐ。研究者は、その流れの中で方向を示し、必要な場面で判断を下す役割にシフトしています。AIによる変化は、単なる効率化を越え、発想の広がりや思考の深まりまで変えてしまう「質的な大転換」です。

もしいま、自分が大学院生に戻れるなら、どのように研究を進めていくだろうか──。この記事では、そんな妄想をもとに、現役大学院生向けのAI活用法を考えました。どうか最後までお付き合い願います。

目次

まずはChatGPTに月$25課金する

もし今の時代に大学院生として戻れるなら、まずChatGPT Teamプランを申し込みます。月25ドル。毎日のコーヒーを少し減らせば届く金額で、研究を支える強力な相棒が手に入るのです。

Teamプランでは、こちらが渡したデータがOpen AIに学習されません。未発表のアイデアも、とっておきの実験データも、心置きなくチャット欄に貼り付けられます。

院生時代を思い返すと、資料集めや図表づくり、文章の推敲にかなりの時間を割いていました。今なら、一連の単純作業をAIが引き受けてくれるでしょう。そのぶん、自分はより本質的な部分に時間を注げます。研究の方向をじっくり考えたり、次の実験を思い描いたり。頭の中で描いたビジョンを、すぐ次の行動につなげられるのではないでしょうか。

私は会社就職後、AIと毎日やり取りしています。AIを使わない日が無いぐらいです。

AIとのコミュニケーションは、何でも知っている先輩が専属で隣に座っている感覚。質問をすればすぐに答えが返ってくる。投げかけたアイデアがあっという間に形になる。

学生時代にもAIはありましたが、今ほど高性能ではありませんでした。GPT-5があれば、研究生活がものすごく楽でしょうね。

何を研究するかからAIに決めてもらう

研究で一番難しいのは、何を研究するかを決める場面。何も知らない段階では、そもそも何をやっていけばいいかすら見えてこないものです。

仮に研究課題を見つけたとして、先行研究と重なってしまうかもしれません。膨大な時間を投じて文献調査する作業が求められました。あるいは、自分が打ち立てた課題が斬新すぎて、非現実的かもしれませんね。自分の置かれた環境では設備的・ノウハウ的に完遂困難なハードな課題を立てる可能性もあります。

でも、AIが居れば大丈夫。今なら悩みをAIと一緒に解く選択肢を使えます。

先行文献調査には、GPT-5のThinkingモードとDeepResearchモードを使います。指示文を打ち込み、クリックすれば、我々が寝転んでいる間に世界中の論文を調査できるのです。どのような研究がまだ行われていないかを知り、自分の研究環境を認識していれば、これからどんな研究をしていけばいいかがおのずと見えてくるでしょう。

盲点の発見だって余裕です。AIなら、人間にとって盲点だった空白領域をいとも簡単に発見できます。ひょっとしたら、前人未到の組み合わせを難なく見出せるかもしれません。

テーマが決まったら、その場でAIに研究計画の下書きを作ってもらいます。必要な実験の種類、データ収集の段取り、解析方法、発表までのスケジュールを見える化し、あとは手を動かすだけの状態を作る。

自分は計画に沿って手を動かし、研究結果をAIに渡す。AIはデータをもとに分析を行い、考察と次の一手を示してくれる。AIとのやり取りを繰り返すうち、研究は驚くほど速く進んでいくでしょう。

論文もAIに書かせる

研究が進み、結果が出そろったら、次は論文執筆です。

以前なら、まず日本語で原稿をまとめ、それを英語に翻訳する流れが一般的でした。日本語話者にとって、外国語よりも母国語で議論する方がやりやすいからです。

いまはどうでしょうか。最初から英語で書き始める方がスムーズかもしれません。というのも、AIなら、読みやすく自然な学術英文をすぐに作ってくれるから。文法の正確さや論理の一貫性まで担保されます。考察も、最先端のAIが徹底的に考え抜き、素晴らしいものを提供してくれるでしょう。

私がやるのは、論旨の骨格をつくること。各章で何を主張するか、どんなデータを示すか。論文の骨組みさえ整えば、あとはAIが良い塩梅で肉付けしてくれます。

論文執筆期間は、1か月だけChatGPT Proに$200課金します。ChatGPTの最上級モード「GPT-Pro」を使いたいのです。GPT-Proで議論の精度を限界まで高めていきましょう。ProモードはThinkingモードでは掘り切れなかった所まで深く掘り下げてくれますよ

一か月だけで構わないので3万円課金しましょう。論文の仕上がりがまるで違ってくるはずです。

査読対応もAIにしてもらう

論文を投稿すると、しばらくして査読コメントが届きます。コメントは、ありがたい指摘もあれば、核心を突く鋭い質問も。ときには、想像を超える量の修正を求められ、メールを開いた瞬間に深くため息が出るでしょう。私も何回ため息をついたか分かりません。博士学生のため息だけで、地球のCO2濃度は倍になります。

憂鬱な作業こそ、、AIの出番。論文の執筆をAIに任せたのなら、査読対応もAIに頼むのが自然な流れです。

届いたコメントをそのままAIに読み込ませれば、数秒で要点を整理してくれます。指摘の背景や意図まで分析し、改善の方向性をわかりやすく提示してくれる。必要に応じて、新しい文章や追加の図表案まで生成してくれるでしょう。

AIならばメジャーリビジョンも恐れるに足らず。修正のボリュームが多くても、迷わず着手できるように道筋を示してくれます。我々が指示を与えれば、どれだけメガボリュームな改稿も、ものの数十秒で完了するでしょう。

もはや、人間が深夜まで机に向かい、頭を抱えて文章を書き直す必要はありません。我々の仕事は、コメントを読み、修正の方向性を決めて、指示文を打ち込むだけ。

AIとやり取りしていくうちに、「査読対応=憂うつ」というイメージが薄れていきます。むしろ、AIと協力して論文を洗練していく査読過程が楽しみにさえなってくるかもしれませんね。

結局、全部AI任せになる

こうして振り返ると、研究テーマ探しから計画作成、論文執筆、査読対応まで、ほとんどの工程をAIと一緒に進めていますね。気づけば、自分は計画の舵取りと手作業の部分を担い、それ以外はAIが支えてくれる形になっていました。

最初は「便利な道具」のつもりで使い始めても、やり取りを重ねるうちにAIは研究の中心に深く入り込んできます。まるで長年の共著者のように、こちらの癖や考え方まで把握し、次に何をすべきかを先回りして示してくれるのです。

人間がAIを使っているのか、人間がAIに使われているのだか分かりません。一体どちらなのでしょうか。今は前者でも、Aiが賢くなるにつれ、将来的には後者になっていくはずです。

さらに先を想像すれば、ソフトウェアとしてのAIが身体性を持つ日が来るでしょう。実験装置を自ら操作し、現場調査にも赴くAIロボットが登場すれば、研究現場は今とはまったく異なる景色に変わります。そのとき、「研究者とは何か」という定義すら揺らぐはずです。

AI任せ、と笑ってしまうかもしれません。しかし、AIとの協働は、これまでにないスピードと精度で新しい知を生み出す体制でもあります。

人とAIが肩を並べて進む研究は、間違いなく、従来の人間主体型研究スタイルの延長線にはない成果をもたらすでしょう。

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