国立研究所で研究する魅力|筑波の国研へ5年間入り浸った博士学生が伝える

私は北大生という身分でありながら、B4からD2まで五年間、筑波の某国立研究所 (国研) にて研究を行ってきました。普段は札幌で過ごし、年に三回ほど、それぞれ1~2か月ほど筑波に滞在し、筑波滞在中に研究データを集中的に集めるスタイルです。

五年間の研究室生活でのべ2年ぐらいは筑波に居たでしょうか。国研へ入り浸らせてもらって、実験を中心に貴重な経験を積ませていただきました。

この記事では、自身の経験を踏まえ、国研で研究する魅力を解説します。

  • 国研に滞在予定の学生さん
  • 国研への就職をお考えの博士研究員さん

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

アカデミックな雰囲気が最高!

国研の魅力は何といっても「雰囲気」。国研内部のアカデミックな雰囲気には訪れるたびに惚れ惚れとします。きれいな建物。廊下はカーペット。ずらりと並ぶ実験室。そこかしこを歩く多国籍な研究者… 国研の雰囲気だけをおかずにご飯を何倍でも食べられます。

私自身、国研滞在中は昼食に玄米しか食べませんでした。国研は、見ているだけでお腹いっぱいになる世界なのです。大学とはまるで別世界。同じ学術機関とは思えないぐらいに素敵。何もかもが洗練されていてカッコいい。まるで夢でも見ているみたい。

こんな素晴らしい所でずっと過ごせたらモチベーション高く研究し続けられるでしょう。国研の職員さんたちが心底羨ましかったです。

世界最先端の機器を使って実験できる!

国研の設備は世界最先端。世界に数台しかない超高性能解析機器がごまんとあります。

実験装置って高いじゃないですか? 安くても一台一千万円、高いものだと何億円、何十億円する場合も。国研にはそんなお高い機械が構内へ収まり切らないぐらい配備されています。滞在期間中は所内の装置を使って”もう嫌です”というまで実験が可能。

国研の装置って良いものばかりなんですよね。大学の装置を使って取得する実験データよりも遥かに精度が高くて驚かされます。しかも、装置によっては専属のオペレーターさんがいらっしゃる。我々実験者の仕事は測定サンプルを作るまで。そこからはオペレーターさんに託し、実験データを取っていただけるのです。

優れた実験機器があるならば、もちろん、優れた実験環境もあります。たとえばドライルーム。室内の水分濃度が数ppm以下に抑えられているのです。ドライルームは電池材料研究時に重宝します。電池材料は水分に弱いものが多く、水分の少ない特殊環境であるドライルーム内で実験するのが最適というわけです。

ドライルームは人間のことを考えて作られてはいません。入った瞬間に目がパリッパリに乾燥してしまい、ものの20分も経てば、身体じゅうの水分を全部持って行かれます。大気中の水分除去能力がそれだけ優れているという証ですね。

国研内にはその他にもたくさんの特殊環境が用意されているので、国研訪問時にはぜひそれらの設備を活用して研究にお役立てください。

集う人材が超一流!

国研に所属する研究者の質は世界トップクラス。各研究分野で一、二を争うトッププレイヤーが集っています。

国研職員になるには、厳しい採用選考を勝ち抜かねばなりません。倍率は5~6倍、採用枠によっては10倍を超えるような場合も。国研には、選りすぐりの猛者が採用されるわけです。学振DC1採用時がピークだった私なんかでは到底採用されません。

研究者さんは国研入所後も日々研鑽なさっていらっしゃいます。国研へ集う研究人材はみな、現役で世界の第一線にて戦っているのです。いつも頑張って仕事をしている研究者さんたちを見ていると、”自分も頑張らなきゃな”とコチラまでやる気にさせてもらえました。

国研滞在時、私は国研職員さんと研究議論を行いました。研究員さんの頭はキレッキレ。研究の本質を瞬時に見極め、研究を迅速に、かつ大幅に進捗させられる提案を次々として下さりました。ディスカッションするたびに「この人、ホンマにすごいなぁ」と惚れ惚れしました。いったいどうしてあんなに優秀なのでしょうか。何を食べてきたらそんなに頭が良くなるのか。

国研滞在の魅力は、超一流の人材にお世話になれる点。周りがあまりに凄すぎるものだから、「自分が足を引っ張っちゃいけないな」と危機感が芽生え、今までより熱心に研究へ打ち込むようになるでしょう。

僻地にあるから研究に集中できる!

私が五年間入り浸った国研は、その周囲半径1.5km圏内にコンビニやスーパーマーケットがありませんでした。娯楽施設もない。電灯すらない。夜になるとカエルと虫のコーラスで騒々しくなります。

国研の周りには、家と田んぼしかありません。要するに、とにかく何もない所なのです。言い方は悪いけれども僻地です。最寄りの鉄道駅から歩いて3km。駅の周りは栄えているけれども、駅から離れるにつれ、何もなくなっていく。

国研が僻地にあるおかげか、国研滞在期間中は己の意識を研究へ全集中できます。ちっとも気が散らないのです。なんせ、国研以外には何もありませんから。頭を煩わせる要素が皆無。うるさいのは夜のカエルぐらいかな。

筑波から東京までは、つくばエクスプレスの快速で45分。そんなに時間を費やして都会へ出かけるのも面倒くさいです。そもそも、宿からつくば駅まで、歩いて片道20分以上。家と東京の往復で2時間。そんなに時間をかけてまで都会へ出かける気力がわきません。

国研に通い始めると、研究の息抜きに研究をするようになりますね。将棋のプロ棋士が息抜きに詰将棋をするように、我々国研通いの大学院生も、研究の息抜きに論文を読んだり、データ整理したりする。おかげで研究が爆速で進展します。人間として大切な何かが欠落していくような気がしますが、まぁ、気のせいということしましょう。

最後に

国立研究所で研究する魅力を実体験に基づいてお伝えしました。

国研は日本で最も研究環境の整った場所。行けば間違いなく雰囲気に魅了されます。人材も機器も超一流。僻地にあるおかげで研究が進みまくり。そんな魅力ある国立研究所へ、皆さんもぜひ一度、足を運んでみて下さい。まずは見学ツアーから。将来的には国研職員として国研で働けたら素晴らしいですね。

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