広島生活春夏秋冬vol.6 一年目・8月後編|推しがまた不倫した。10と3/4連休に神社へ、急転直下で乗馬再開

目次

パイソン

https://www.python.org/community/logos/

2025年はヘビ年である。風の時代とも、変化の激しい時代とも、いよいよヘビがオフィスワークに進出する時代とも言われている。

正直言って、ヘビは苦手。第一、あの顔からして恐ろしい。なぜ、あれほど目つきが鋭いのか。いけちゃんの不倫を見とがめた相手方の妻のような、「コイツ、殺してやる」と言いたげな目をしている。怖いじゃないか。こっちを見ないでくれ。浮気ぐらいさせてくれ。いや、しないよ、そんなもん。

ヘビが怖いのは、動作があまりに滑らかだから。クネクネ螺旋運動をして、前にスーッと音もなく進んでいく。気が付いたら、ヤツはすぐ目の前にいる。悲鳴を上げる前にガブッとやられる。フィンランド軍の名スナイパー・シモヘイヘのよう。静粛性と隠密性と攻撃性を兼ね備えた、地球最強の戦闘マシーンである。人間にはヘビのような滑らかさは出せない。もはや、人間をやめなければどうにもならない。私が人間をやめたとしても、ヘビになれるかどうか定かではない。おそらくなれないんじゃないかと思う。やっぱり、ホッキョクグマ止まりではなかろうか。

SHUCDECでは机上検討を行っている。実機試験へ入る前に徹底的なシミュレーションを行う。実機は高い。資源ロスにもなる。どの会社も実機試験を減らしたがっている。それにはシミュレーションの活用が欠かせない。机上検討で性能を確認し、計算が合っているかを実機で確かめる。

シミュレーションするにも色々な方法がある。弊社自慢のスーパー・ハイパー・ウルトラ・超・どんだけ・高性能ソフトウェア(SHUCDKS)を使うこともあれば、誰でも使えるプログラミング言語でサクッと計算する場合もある。SHUCDKSの出番は、実機導入間際。皆がいきなりSHUCDKSを使えば、銀河系軍団の弊社といえども、サーバーがパンクしてしまう。まずは計算コストの低い軽量ソフトでおおよその見当をつける。検討に検討を重ね、検討を加速し、それでようやく技術開発方針の見当や目星をつけられる。

私は化学系博士課程を修了した。恥ずかしながら、弊社に入るまで、一度もプログラミングをしたことが無かった。学部時代はプログラム系の講義を避けてきた。文字の羅列を見て吐き気がしたのと、数行程度のサンプルコードを見ても完成物を思い描けなかったから。C言語はおろか、FortranもExcel VBAも手を付けたことがない。

弊社に入り、いよいよプログラミングから逃げられなくなった。上司から解析を任されるデータの量が、手作業で扱える範疇を越えてきた。さすがに手作業で処理するのは難しい。ホッキョクグマが北極から南極まで泳いで渡るのと同じぐらい無茶である。さすがにプログラムをやらねばならない。嫌だなぁ。こんなの、できる気がしない。

私には強力な味方がついている。ChatGPTとGoogle Gemini。私がゼロからコードを記す必要はない。私には書けなくてもAIなら書ける。人間側には、完成物のイメージさえあればいい。「こんなことができるコードが欲しい」と指示するだけでかまわない。私が指示した途端、AIの中の人が、9月1日早朝に宿題をこなす小学生の如き神速でコードを仕上げてくれる。

人間は、プログラム構文も文法も知らずにプログラミングできる。コレはすごい。革命である。

試しに、学生時代に取ったデータからグラフを作らせてみた。手作業なら2分かかっていたものを、VBAでは5秒で仕上がった。しかも彼らは半自動でグラフを永遠に作り続けてくれる。もうやめろと言っても続ける。全然やめてくれない。いいから、もう作らなくていいって! あっという間に10GBの激重ファイルが出来上がった。勘弁してくれよ。パソコンがフリーズしてしまった。再起動して、コードを修正する。

VBAもすごいが、Pythonもすごい。コイツはイカれている。どうかしている。試しに、筑波の特殊な顕微鏡で撮っていたデータをシミュレーションさせてみた。顕微鏡では二次元&静止画しか得られなかったデータを、Pythonなら三次元かつ動画で生成できた。これさ、もう実機いらないんじゃないの。あの顕微鏡よりはるかに性能が良いぞ。

学生時代にプログラミングスキルがあれば、と悔やんだ。D2の自分にプログラムスキルを与えれば、とんでもない論文を書けていただろう。B4からD2までの間に論文を七報書けた。プログラムができていたら十報は書けたね。IF30以上の雑誌にも論文を通せていただろう。実験とシミュレーションの二刀流は強い。ただのお遊び実験を、立派な研究として力業で仕上げられてしまう。

久々に研究をやりたくなってきた。論文のネタが次から次へと思い浮かんでくる。こんなに面白い武器を手に入れてしまった以上、弊社の中でだけしかプログラミングしないのは勿体ない気がする。

1 2 3 4

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

カテゴリー

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次