M2の皆さん、お疲れ様です。
今、あなたの机の上には何がありますか? 修論の草稿でしょうか。教授から「ここ、もう少し考察を深めて」と赤ペンで血飛沫のように染め上げられた原稿でしょうか。それとも、内定先から届いた 精神的圧力 入社前課題でしょうか。
修論発表の準備に追われ、教授からは「修了前にあと1セット実験しておこうか」と悪魔の囁きを受け、講義が残っている人は期末レポートに追われ、就職組は内定先との折衝や引っ越し準備に奔走している。進学組は進学組で、博士課程からの研究やら、学振関連の書類準備に追われて落ち着かない。
そんな状況で、この時期がやってまいりました。そう、JASSO奨学金返還免除申請シーズンです。
「今じゃなくてよくない?」と後回しにしたくなる気持ちは分かります。忙しいですもんね。申請なんかに時間を使っていられませんよね。奨学金の書類を書くぐらいなら競馬にでも行く方が楽しいでしょう。勝っても負けても楽しいのが競馬。書類を書く何十倍も楽しいはずです。
しかし、競馬好きの皆さんにも、どうかこの記事を最後まで読んでいただきたい。どうかお時間を5分ください。その5分が、半年後に100万円の価値を持つかもしれないのです。
そもそも返還免除制度とは何か
JASSOの第一種奨学金には「特に優れた業績による返還免除」なる制度があります。大学院で奨学金を借りていた人のうち、学業や研究で優れた成果を挙げた人は、借りたお金の全額または半額が返還免除になる制度です。控えめに言って神のような制度ではないでしょうか。いや、神よりも神かもしれません。カバぐらいにしておきましょうか。
さて、修士課程で第一種奨学金を満額借りていた場合、2年間で約200万円を借りたことに。これがもし全額返還免除になれば、200万円もの借金がチャラになります。半額免除でも安心してください、100万円の負債が消滅します。
ここで皆さんにも想像していただきたいのですが、100万円あれば何ができますか? 新生活の家電を一式揃えるなんて余裕ですね。敷金礼金を払って、家の頭金を入れて、漢気を発揮して50年の住宅ローンに入って、それでもまだ焼肉食べ放題に10回は行けるのではないでしょうか。
もし、もしですよ。全額返還免除になって200万円手に入れられたらどうなるか。200万円あれば、家のひとつやふたつどころではありません。残クレに頼らずキャッシュで普通車が買えます。車好きが見ればよだれを抑えられなくなる マツダ・NDロードスター すら視野に入るかもしれません。マイホームに加えて、マイカーにまで新卒一年目から手をかけられるのが、全額免除に秘められた威力なのです。
ここで、読者の方の中には、このように思われた方がいらっしゃるかもしれません。
学生Cいや~、自分は別に特に優れた業績なんてないし



ロードスター、ロードスターと言われても、そんなに車好きじゃないしなぁ…
注文通りのコメント、ありがとうございます、謙虚なのは素晴らしいかと存じます。世の中に傲慢ニズムがはびこっているなか、謙虚であるというのは素晴らしいことです。
しかし、奨学金返還免除の観点からは謙虚さが仇となるかもしれません。なぜなら、返還免除になるかどうか、つまりマイホームに手を伸ばすかどうかは「申請する」という行為そのものにかかっているからです。
「特に優れた業績」のハードルは思ったより低い
特に優れた業績と聞くと、身構えてしまいますよね。「学振DC1に採用された選ばれし者」や「在学中にNature姉妹誌に筆頭著者で載った天才」だけが対象だと思うかもしれません。実は、全然違うんですよ。
私の知り合いに、主著論文を一報書いただけで半額免除を勝ち取った人がいます。一報ですよ? 学会発表とTA経験など、ありきたりな業績を加えて申請書を出したら、半額免除になったそうです。彼は別に天才だったわけではありません。指導教員が大御所だったわけでもない。ただ締め切りまでに申請書を提出したのが、彼を半額免除に導きました。
一方で、彼と同じぐらいの業績だったのに申請しなかった同期がいました。彼に理由を尋ねたところ、「申請するのが面倒だったし、出してもどうせ無理だと思ったから」と言っていました。彼は論文も学会発表も十分だったのに、100万円を 面倒 と 推測 で捨ててしまいました。
ふたりの違いは何でしょうか? 育毛でもなく、植毛でもない。申請したか、しなかったか、それだけでした。
返還免除の審査に通る確率は、各所属専攻の業績上位30%。実際の免除率は大学や年度によって変動しますが、ここでは話を単純化させてください。
もし申請した場合、30%の確率で半額免除以上になります。よって、返還免除申請して得られるお金の期待値は、100万円×0.3+0×0.7=30万円。奨学金を借りるのにお金はかからないので、無から有を産み出すことになりますね。
一方で申請しなかった場合、期待値は0%となってしまいます。どれだけ素晴らしい業績を積み上げていても、どれだけ教授から「君は優秀な奴隷だ」と褒められていても、申請書を提出しなければ審査のテーブルに載ることすらありません。申請書を提出しないことには返還免除ルーレットを回せないのです。
奨学金返還免除の期待値は、年末ジャンボよりもはるかに高いです。
宝くじは当選確率が天文学的に低いうえ、購入費用がかかります。しかし、返還免除申請は真面目に研究していた人なら十分に目指せますし、応募するのにお金はかかりません。要するに、ノーリスク・ハイリターンな最高の投資なのです。競馬で喩えたら複勝を当てるようなものでしょう。ワイドならそこそこ難しいけれども、複勝であれば、人気馬を買っておけば大概は当たります。
みんな、絶対に申請しよう
「忙しいから」は申請を避ける言い訳になりません。この時期、全員が忙しいのです。修論を書いていないM2がいたら、それはそれで別の問題を抱えています。「面倒だから」と申請しないのは機会損失です。100万円を「面倒」で捨てられますか? 期待値がプラスの戦に挑戦しないのはあまりに勿体ない。
悲しいかな、書類提出期限は、多くの大学で修論発表の直前か直後に設定されています。なんという鬼畜なスケジュールなのでしょうか。JASSOと大学事務局が共謀してM2の精神的限界を試しているのかもしれません。いや、彼らに悪意はありませんよ。たぶん。おそらく。きっと。あるいは。
ここまで読み終えたM2の皆さんは、ついでに今から大学の奨学金関連サイトを確認してください。そこには、申請書類のフォーマットと正確な締め切りが掲載されています。ひと通り確認し終えたら、直ちに業績の棚卸しに着手しましょう。学会発表、論文、TA、RA、受賞歴、学外での社会貢献活動。書けるものは全部書くのです。
半年後、あなたは新しい環境で生活しているでしょう。社会人になっているか、博士課程に進学しているか、あるいは全く別の道を歩んでいるか。いずれにせよ、返還免除決定通知は、7月の中旬に届きます。その情景をどうか想像してみてください。「あのクソ忙しい時期に申請書を書いた過去の自分、本当にありがとう」と思っていらっしゃることと存じます。
半年後に喜べるか、喜べぬかが決まるのが、今この瞬間ということです。本記事をご覧になられた皆さんが申請に挑戦し、返還免除を掴み取ることを切に祈っております。私に分けていただけるのなら喜んで受け取りますので、その時はどうかご連絡ください。



ちなみに私は、修士のあいだに論文を四報記しましたが、講義でレポートを出し忘れて酷い成績を取ったせいで半額免除でした。皆さんもどうかレポートだけは忘れることなく提出するように!



















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