カーボベルデ

朝から東京まで移動してマックを食べ、会社で最終面接を受けた。移動と最終面接だけなら問題なかったが、マックを食べて胃が疲れてしまった。広島へ日帰りするのはしんどく感じて、東京での一泊を決意した。もちろんホテルなど取っていないし、宿泊代を払う気にもなれない。どうしようか考えた挙句、無料ホテルの羽田空港第三ターミナル1Fベンチで寝た。
翌朝、早起きして展望デッキへ。海の向こうへ飛び立つ航空機を眺めながら、「どうしてホテル取らなかったんだろう、めっちゃ首が痛いや…」とグーッと背伸びした。
いいかい学生さん。ホ代をな、ホ代をいつでも払えるくらいになりなよ。それが、ちょうどいいくらいってとこなんだ。アラサーになると、寝違えたら3日は治らないからね。アラサーって、もうおじいちゃんなんですよ。辛いです、ホントありがとうございます。
帰路は飛行機を選んだ。マックで胃を壊したなかで広島まで泳いで帰るのは辛く、飛行機に甘えさせていただいた。

私は十年来のANA派である。青が好きなのと、アナザースカイが好きなのと、葉加瀬太郎はやっぱりすごいと思ってANAを使い続けてきた。札幌時代も、筑波の国研に行く時はANAで国研のすぐ60km手前まで乗りつけていた。
大好きなANAが、ここ数年改悪を続けている。CAさんにJKみたいな盆踊りをさせてショート動画投稿したり、航空券購入画面のUIをいじって使いづらくしたりした。あと、座席指定できるのが24時間前からになった。そんな所まで海外のマネをしなくてもいいのに。いくら青が好きでもこの体たらくでは利用できないなと思い、今回はJALに乗った。
第一ターミナルで出発便を待っていた。ターミナル内を隅から隅まで徘徊し、それでも暇でソファコーナーへ寝に行った。そこでは大型ディスプレイでワールドカップを中継していた。アルゼンチン 対 カーボベルデの前半30分だった。日本が負けてしまった以上、同じ島国のカーボベルデに夢を託すしかない。カーボベルデ頑張れ、カーボベルデ頑張れと念じていた。
念力が届いたのか、カーボベルデDFのスーパーシュートが決まり、立ち上がってうわー!!と絶叫しかけてやめた。世界ランク首位のアルゼンチン相手に、無名の島国が延長戦まで持ち込んだのだ。これはもしかするとワンチャンスあるぞ。カーボベルデ頑張れ、カーボベルデ頑張れ、とより一層熱をこめて応援した。
残念ながら、保安検査場を通過しなければならない時間が訪れて、カーボベルデ頑張れ、ともう一度念じて搭乗ゲートに向かった。

搭乗口横のディスプレイでもカーボベルデ戦が放映されていた。目を離したすきに一点取られたらしく、延長後半アディショナルタイムが今にも終わろうとしていた。カーボベルデ頑張れと再度念を送ったが、それからすぐ、レフェリーが長いホイッスルを吹いた。無名の島国の大健闘に、搭乗待ちの乗客は一同スタンディングオベーション。私も泣きながら拍手した。
カーボベルデですらあんなに頑張った。あの世界的スター・メッシを土俵際まで追い込んだのだ。まして、自分が頑張らなくてどうするのか。カーボベルデ魂を見せてみろ。弊社ではなかなか思い通りにならなかったけれども、だからどうした、突っ走れって。
飛行機が轟音をあげて宙に浮いたとき、転職しようと決意した。離陸はやり直しがきかない。飛ぶと決めたら、必ず飛び立たねばならない。広島を離れるのはものすごく辛いけれども、やりたいことができる環境に身を置けるなら、チャンスを逃してはいけない。
今が、そのときだ。
次作
~COMING SOON~


















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