【博士課程】早期修了するか・しないか。非常に迷わしい選択の時が迫る

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D1)です。博士号の取得要件をD2の後期に満たせそうなため、1年飛び級してD2の3月にラボを飛び立とうと考え始めました。

早期修了を目論む反面、飛び級せず3年掛けて修了しようと考えている自分も居るのです。この記事では、私が早期修了に対して抱いている前向きな思いと懸念をそれぞれ書いていきます。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

早期修了へ抱いている希望

このような記事を書くぐらいだから、どちらかというと私は『早期修了したい』と願っております。その理由は以下の3つ⇩

  1. 何の役にも立たない (と自分で思っている) 穀潰しを一年早く卒業できるから
  2. 大学受験で背負った1年のビハインドを書面上で挽回可能なラストチャンスだから
  3. ストレスで壊れつつある身体の状態を鑑み、長くてあと1年しか土日関係なくフルスロットルで働けなさそうだから

それぞれについて一つずつ解説します。

何の役にも立たない穀潰しを一年早く卒業できるから

正直、26歳にもなってまだ学生業を営んているのは苦しいのです。誰かから年齢と職業を聴かれるたび、『まだ学生をやっているの…?』と言わんばかりに思い切り目を見開かれてしまいます。”アンタは歳を食った穀潰しだっ!”と思われているのではないでしょうか?悔しいけどほとんど事実だから指摘を受け入れるしかありません。「私は知的労働者です。勉強ではなく研究をしています」と言い返したい気持ちが日ごとに募る一方。しかし、そのような返事を聴いた相手には屁理屈にしか捉えられないだろうから言い返しません。世間からの視線の痛さに耐え、社会の片隅でひっそりと鳴りを潜めるようにあと2年間も過ごすだなんて無理この辛さを一年でも早く脱せられるなら脱したいと願うがゆえの早期修了。

同い年の方は高卒の場合は8年、大卒なら3~4年間は稼いで納税までしていらっしゃいます。”結婚して子供を2人も作った”という方まで中にはいらっしゃるのではないでしょうか?にもかかわらず、私は彼女も作れず、大学へお金を払って研究者の見習いのような毎日を過ごしているのです。博士課程を終えたら見習い期間を終えられるのかと思いきや、”ポスドク”という期間不明瞭な追加の訓練期間まであるというから恐怖。正直、自分でも「何をやっているんだろう…」と悲しく・情けなくなってしまう時が。博士課程進学を選んだのは果たして正解だったのだろうか…と。今のままでは私を産み育ててくれた社会に対して何の恩返しもできていません。早期修了し、企業や国研へ就職し、少しでも早く【誰かの役に立っている感覚】を得たいがゆえの1年早期修了です

大学受験で背負った1年のビハインドを書面上で挽回可能なラストチャンスだから

以前の早期修了大作戦 [記事のリンク]の記事の中にも書いたように、大学受験で浪人した失った1年を学歴上巻き返せるのは、博士課程の早期修了が私にとっては最初にして最後のチャンスとなります。一年遅れた?だからどうした?とお考えになるかもしれません。遅れをとった側の人間にとっては非常に大きな問題なのです。

気力も体力も何もかも満ち満ちていた10代最後の貴重な一年間。大学受験へ合格するためだけに勉強へ100%捧げました。その頃、男子校の同期は大学に入り、サークルで知り合った女の子と一緒に飲み会や海で大騒ぎしていました。彼らのはっちゃけた様子をSNSで偶然垣間見てしまい、浪人の夏休みには生きる気力や勉強するやる気が地の果てまで落ち込んでしまいます。私も楽しんでいる側だったはず。あそこまで盛り上がれるコミュ力は自分にはないだろうけども、楽しむ様子を見たり声を聴いたりしてニヤニヤしていたんじゃないだろうか、と。

大学受験浪人で負った心の傷は大学に入っても消え去りませんでした。現役時代に掲げていた第一志望の大学へ行けなかったのも状況を拗らせてしまったのです。生きていて何も楽しくありませんでした。何かへ熱中したくても大半は面白味を感じられずに投げ出してしまったもの。私の心に引っ掛かっているのは【同期から”遅れ”をとった】という揺るぎない事実。コレさえ除去、もしくは変えられるなら人生がググっと上向いてくるに違いない。早期修了すれば、浪人せずストレートで博士を出た人間と同じ27歳で院を出られます。博士課程の早期修了は遅れを取り戻すまたとない好機なのです

かめ

遅れを”遅れ”と見なしているからいつまで経っても苦しいままなんです。そんな意見は百も承知。大学入学から7年間悩みに悩み、挙句、”遅れじゃない”と見なせなかったのだからどうしようもありません…

ストレスで壊れつつある身体の状態を鑑み、長くてあと1年しか土日関係なくフルスロットルで働けなさそうだから

D1・10月から12月まで行った留学で負ったストレスは日本とは桁違い。全身への蕁麻疹や心筋炎、不整脈、さらには喀血までも経験しました。今まではストレスで壊れていたのはただ一か所、私の”心”だけでした。桁違いのストレスを受け、身体がボロボロに壊れてしまったのです。念のため補足すると、私は肉体的なストレスには滅法強い方。フルマラソンを2時間47分、100kmマラソンを9時間1分で走り通せますから。精神面のストレスにも決して弱いわけではないと思います。倒れても倒れても起き上がってファイトポーズをとれるのが私のストロングポイントです。

一度ボロボロになった身体はそう簡単には元に戻りません。たとえ外面上は元通りになったとしても、内部の強度が脆弱になってしまっています。今までは壊れなかった程度の力 (ストレス) を外から加えたとき、次からは心がポキッと真っ二つに折れてしまう可能性が高いのです。壊れては直り、壊れては直り…を繰り返しながらの操業となるでしょう。研究や勉強を行う際、ストレスの限界値を越えてしまわぬよう、前よりも一層注意しなくてはなりません。土日関係なく研究室へと通うスタイルも改めなければならないかもしれません。もし毎日フルスロットルで働けたとしても、持ち堪えるられるのはせいぜいあと1年程度じゃないかなぁ…と。博士課程にあと2年も通ったら毎日通わずとも壊れてしまうでしょう。

早期修了へ抱いている懸念

早期修了を目指すにあたって十分な理由があるわけですが、一方で”早期修了してしまってもいいものだろうか…”と後ろ髪を引かれる思いもあります。早期修了に対して抱く後ろ向きな思いは以下の2つになります⇩

  • 後輩指導を一度もやらせてもらえぬまま修了してしまってもいいのか?
  • D2の春、胸を張って「今の研究をやり切った」と言えるのだろうか?

以下で一つずつ解説します。

後輩指導を一度もやらせてもらえぬまま修了してしまってもいいのか?

運の巡り合わせか、自身の性格に難があるのか、歴代の先輩がM2の時に必ず経験しているB4への研究に関する指導を私だけさせてもらっていません。後輩 (に限らず、誰か他の人)と一緒に研究をやったことが未だに無いのがもどかしいのです。大学院は必ずしも研究力のみを鍛える場所では無いと認識しています。

  • くだらない雑談の最中で新たな価値観を培う場
  • 誰かと一緒に研究を進めてコミュニケーション能力や協働能力を高める機会の場
  • 後輩を助けてあげたり実験の方針を考えてあげたりすることで得られるマネジメント能力を伸ばすための場

など、研究力だけでなく、研究以外の力をも伸ばして社会に有用な人材になれる場所だと考えています。後輩との密接な交わりの場 (エロい意味じゃありません) を設けられていない以上、自身の人間力やその向上は後輩指導を経験した人間と比べて遥かに劣るのです。博士進学した同じ研究室の同期と比べても明らかに劣っています。

博士課程を早期修了するということは、後輩指導を経験させてもらえる可能性があと一度しかないのを意味しています。あと2年あるならチャンスは二回。あと1年しかないならチャンスは一度だけ。早期修了しなかったからといって必ずしも後輩指導をさせてもらえるとは限りません。M2の頃と同様、私だけ一人での研究を余儀なくされる可能性もあります。そういえば、私がつくばの国研で使わせてもらっている実験装置がもうほとんど壊れかけていました。『壊れちゃうなら後輩をつけなくても構わないよね♪』と先生に見なされ、後輩指導のチャンスは巡ってさえ来ないかもしれません。しかし、自ら進んで後輩指導のチャンスの回数を減らしに行っても良いのでしょうか?実験と研究と論文執筆しかできないワンマン作業員で終わり果てる未来が想像できるから怖いのです。

D2の春、胸を張って「今の研究をやり切った」と言えるのだろうか?

自分で言うのもアレなのですが、私が博士課程で取り組む研究はかなり壮大なモノです。学振DC1の申請書に書いた時点で (コレ、本当に3年で終わるのだろうか?)と首を傾げていたぐらい。3年で終わるかギリギリな所を2年で終わらせようとしています。ハッキリ言って無謀なんですよ。キリを付けることはできても、キレイさっぱり終わらせることなどほとんど不可能と言っても良い。博士号取得要件となっている必要な論文数は十分確保可能。”修了できそう”との見込みと”研究をやり切った”との感慨とは全くの別物。

一年繰り上げて修了したとき、先生や後輩に向かって「研究をやり切りました!」と胸を張って言えるのでしょうか?心の中で (もうあと一年頑張れば良かったかな…)と後悔するかもしれません。後悔しないよう残り一年間は本気でフルスパートをかますつもり。それでも幾つか仕事は残るでしょう。輝くかもしれないダイヤの原石を見て、「自分の手で輝かせたかったなぁ」と嘆くかもしれません。後輩指導をさせてもらえたならば、「あとは後輩に託して見守ろう^ ^」と達観した心境に至っている可能性も。だからこそ後輩と一緒に実験を一度やってみなくちゃいけないんですよね。

判断はD2の7月に

博士課程修了後、民間企業か国研の正規職に就職します。薄給&任期付きの去就不安定な博士研究員にはならぬつもりです。国研の研究職に落ちてしまっても大丈夫なよう、民間企業への就職活動をD1・1月に始めました。企業から内定をいただいた状態で国研の正規職への挑戦を迎えます。国研の面接と内定の可否はD2・7月下旬に明らかになるそう。早期修了するかしないかの最終判断は、その頃の内定状況と早期修了への思いの強さを鑑みたうえで下そうかなと思っています。

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