【飛び級】博士課程を早期修了するなら「二年半」での修了をオススメする理由

北大と国研で研究している化学系大学院生かめです。日本学術振興会特別研究員DC1として政府からご支援いただいております。2025年3月、博士課程を一年短縮して早期修了予定です。

私は二年での修了となりました。指導教員から課せられた業績要件は「二年間で査読付き英語筆頭論文五報以上出版」。どうしても早期修了したかった私はハイペースで論文を書き続けたのです。博士課程での二年間は息つく暇もありませんでした。本当に疲れました。頑張りすぎて研究嫌いになったぐらい。

研究以外の全てを犠牲に捧げて勝ち得た飛び級修了。小躍りせんばかりに嬉しい反面、もっとゆっくり研究しても良かったんじゃないかなといった反省も。仮に私が博士課程をやり直すとすれば「二年半での早期修了」を狙うでしょう。短縮期間は半年間。半年でも十分大きなメリットがあるのです。

この記事では、博士課程を飛び級するなら二年半での修了をオススメする理由を記します。早期修了を狙っていらっしゃる方にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

一年短縮修了するよりも早期修了経歴を楽に得られるから

早期修了を狙っていらっしゃる方は、少なからず「早期修了経験者」という肩書きを欲しているでしょう。承認欲求の充足、過去との決別、経歴を華やかにするため、など様々な理由で。私は過去と決別すべく飛び級しました。大学受験浪人で背負った一年間のビハインドを巻き返すため。会社へ就職後、同世代と再び横一線で競争するために。

普通の人は三年かけて修了します。そこをあえて半年、ないし一年飛び級して修了するのです。博士課程を早期修了する方はレア。全体の一割もいないのではないでしょうか。つまり、早期修了するだけで「箔」が付くのです。一年短縮なら金箔が、半年短縮でも銀箔が付きます。

博士課程の半年短縮修了は、一年短縮修了よりも楽に目指せるでしょう。一年短縮者よりも半年長く研究期間を取れるからです。最後の半年分もの差は大きいですよ。博士課程は後半になればなるほど勢いがついてくるもの。D1時代よりもD2時代の方が、D2よりもD3の方が実験にも論文執筆にも慣れてパパッと済ませられるようになるのです。半年短縮修了者は、一年短縮修了者が経験できない「D3の半年間」まで使って研究できます。早期修了に必要となる業績を楽に集められるに違いありません。

一年短縮修了を経験したから申し上げます。二年で出るのは本当に大変です。博士課程在籍中は研究以外のほぼすべてを犠牲にする覚悟が求められるでしょう。土日祝のお休みは諦めて下さい。休んでいたら二年では修了できません。
その点、半年短縮修了なら比較的楽。健康で文化的な最低限度の私生活を営みつつ目指せる公算を立てられます。二年半での修了は、三年かけて出るよりもほんの少し頑張るだけで手が届くラインでしょう。ひと踏ん張りできる方にはぜひ半年短縮修了を目指していただきたいです。半年短縮でも一年短縮でも早期修了に違いはありません。半年短縮修了の方が経歴へ楽に箔を付けられます。博士課程での消耗を抑えたい方に半年短縮はピッタリです^ ^

渡航して海外就職の足掛かりを作れるから

博士課程早期修了を狙う野心家なら「海外」の二文字に心を惹かれているのではないでしょうか。
将来は海外で世界を股にかける研究者になってやる。海外企業で働いて大金を稼いでやる。日本は狭苦しくて耐えられない。もっと自由に働ける場所へ行きたい。日本へ特別なこだわりはない。日本でも海外でもどちらでもいい。こう考えていらっしゃる方が多いかもしれません。

私自身、海外就職するつもりで博士課程へ進学しました。専門分野は電池材料。将来、電池分野を引っ張っていける国際的な技術者になる予定だったのです。夢を膨らませてD1後期にイギリス留学しました。海外就職の足掛かりを作るため、博士在籍中に渡英したのです。結局、留学先選びで大失敗し、ひどい思いを味わって帰国することに。海外就職への夢が破れて日本国内での企業就職を決断しました。

一度海外生活を経験したおかげで海外生活のイメージを作れるようになりました。海外へ何のためらいもなく出ていけるマインドが育まれたのです。
もしも留学先選びを間違えていなければどうなっていたでしょう。博士修了後は海外で働いていたのかなと思います。まずはポスドクとして数年間修業する。その間、研究業績を重ね、どこかの研究ポジションを虎視眈々と狙う。海外へ嫌気がさしたら日本で働く。日本が嫌になったら再び海外へ出向く。拠点を転々とする生活が待っていたような気がします。

海外就職しなかった私が申し上げるのもアレなのですが、海外就職するなら事前に数か月間は海外生活を経験しておくべきですよ。
日本と海外では価値観が全く違います。”海外”とひとくくりに形容できぬほど多様な考え方がある。日本と日本以外の国との違いは書籍や動画の中でも学べるでしょう。しかし、実際に海外へ行ってみなければ分からぬ肌感覚上での違和感があるのです。違和感をどこまで受け入れられるか。許容範囲内なのか、自分には受け入れがたいのか。海外を夢見ている人でも日本の方が好相性な可能性は大いにあります。海外就職してからミスマッチングに気付いても遅いのです。海外就職を希望するなら、就職前に海外で一定期間過ごして海外との相性を確かめてみてもらいたい所。

海外就職したい。でも飛び級もしたい。皆さんの贅沢な悩みを解決してくれるのが「半年短縮修了」。

博士課程在籍中の海外留学は半年程度のケースが多め。海外との相性を確かめるには半年間ほど必要です。仮に研究が半年止まったとしても、皆さんにはまだあと二年残されています。二年あれば早期修了要件の充足には問題ありません。博士課程在籍中に海外留学しましょう。私がイギリスへ行ったD1後期に留学するのがオススメです。いざ外国生活に支障がないと分かれば海外就職の準備を加速してください。やっぱり合わない、日本の方がいい、日本大好きと思えば国内就職へと舵を切りましょう。

半年間、就活に専念できるから

博士候補生は研究成果を出すのが仕事。博士課程修了にあたって、専攻別に定められた業績要件をクリアする必要があります。研究成果を学術論文として出版する。成果をひとまとめにした博士論文を作成する。博士学生にはこうした知的な重労働が課せられるのです。その負荷はあまりに大きく、耐え切れずに中退していく方がチラホラおられます。

ただでさえキツい研究活動。博士修了後の進路確保のため、博士在籍中に就職活動をせねばりません。研究と就活の同時並行は大変ですよ。時間がない中で書類を作ったり面接対策したりするのは難業です。私はD1の後期に就活しました。論文執筆と同時並行で就活へ頭を使って思考回路がパンク寸前になりました。企業分析が甘ければ社風とのミスマッチングが生じてしまうかも。それだと入社してからが面白くありませんね。せっかく就職するのであれば自分に合った会社で働きたい所。

研究にも就活にも時間を割ける裏技のような方法はないものか。それがね、あるんですよ。ご紹介します。

皆さんにオススメしたいのが、博士課程半年短縮修了後に就活を始めること。修了後の身分はポスドク。ポスドクとしてなら「中途採用枠」で企業就活に挑戦できます。短縮修了した方なら十分な専門性が養われているはず。企業が即戦力人材へ求めるだけの高いスキルが備わっているのです。中途採用枠なら一年中応募可能。半年短縮修了した直後の10月に応募しても面接してくれます。

半年短期修了者の場合は、研究と就活とを別時期に進められます。最初の二年半は研究へコミットしましょう。博士論文を仕上げ、悪夢の学位審査会を乗り越え、博士号をゲットしてください。全てを終えたのちに就活へ専念するのです。自己と企業の入念な分析をふまえて自分に合った企業を探しましょう。中途採用枠では実務経験のある転職者と競わねばなりません。怖いですか?大丈夫、問題ありません。半年早期修了という称号は、職を勝ち取られるだけの十分な就活戦闘力を我々に授けてくれます。

ここで皆さんは疑問に思ったでしょう。最後の半年分の生活費はどうするのか、と。

博士学生

おいおい。お金はどうするんじゃ。博士学生をやめたらフェローシップも奨学金も打ち切られるじゃろ。そがいななか、どがぁして暮らせっちゅうねん。あぁ?ぶちのめすぞ、てめぇ。食いちぎったろか

かめ

落ち着いてください!ちゃんと秘策を考えてあります。次章でお伝えしましょう。だから食べないで、お願い!猫さん。お願い、ちょっと待って!

博士学生

にゃ~ (*≧∀≦*)

【学振DC採用者限定】学振PDへ資格変更して高給を受け取られるから

最後の章は学振DC採用者に限った話です。

学振DCには「資格変更制度」があります。博士号取得後、ポスドクをやる方は、学振DCから学振PDへと資格を変えられるのです。ただ名前が変わるだけではありません。受給可能な給与が月20万円から月36.2万円に上がります。額面ベースだと月給が1.8倍。年収は240万円から434万円になるのです。

2025年2月現在の資格変更制度によると、DCからPDになっても博士在籍中と同じ研究室に在籍できるとされています。つまり、身分を変えれば給与を上げられ、研究環境や人間関係などは博士課程時代のものをそのまま利用できるのです。半年分の生活費はもちろんカバー可能。就活に要する移動費や諸出費まで問題なく賄えるでしょう。民間企業へ就職する一年短縮修了者は資格変更する間もなく就職することに。私自身、本来D3になる年度の4月から企業から働くのでPDにはなりませんでした。半年短縮修了者なら学振PDとして半年間活動できます。就活はもちろん、博士在籍中にやり残した研究を進めるなど、時間を存分に有効活用してください。

ちなみに、学振DCには「研究奨励金特別手当」なるものもあります。これは、特別研究員の任期最終年度に月3万円のお小遣いをいただける制度です。つまり、半年短縮修了する方なら

  • D3の4~9月:月給20万円+手当月3万円
  • PDの10~3月:月給36.3万円

このようなお金の受給が見込めるでしょう。一年短縮して企業就職する私は手当もPDの高給も受け取られませんでした。半年短縮修了される方が少し羨ましいです。

最後に

以上、博士課程飛び級成功者が、博士課程を早期修了するなら二年半での修了をオススメする理由を解説しました。

半年短縮修了なら人間的生活を営みつつ飛び級の経歴を得られます。研究と就活時期を分散させられたり、海外留学へ行く時間を確保できたり、諸手当を受給できたりとメリットが盛り沢山。早期修了に興味がある方はぜひ半年短縮修了を目指してみて下さい。

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