【学会発表】発表スライド/ポスターを英語で作成するメリットとデメリット

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料を頂いています。

学会発表用の資料を作成する際、日本語で用意する方が大半じゃないかと思います。一方で全国規模の学会へ行ってみると、全体のおよそ2~3割程度の方が英語の発表スライドで各々の講演をしていらっしゃる。私の場合、B4とM1では日本語で作り、M2で英語に、そしてD1で再び日本語に戻した経緯があります。この記事では自身の実体験を踏まえ、発表スライド/ポスターを英語で作成するメリットとデメリットについて解説します。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

メリット

英語で作成するメリットは以下の3点⇩

  1. 国際学会での発表時に表現やイラストを使い回せる
  2. 国内学会での発表時に目立つ (学生ならなおさら)
  3. 日本語で作るより何だかカッコよく見える (*個人の感想です)

以下で一つずつ解説します。

国際学会での発表時に表現やイラストを使い回せる

一番大きなメリットは努力のコストパフォーマンスの高さにある。最初にスライドを用意する際は少々手間がかかるかもしれないけれども、一度英語でスライドを作ってしまえば国際学会で発表を行う際のスライド作成が段違いに楽に。口頭発表/ポスター発表どちらの形式でも負担を抑えて準備が可能。説明の表現を使い回したり図表を転用したりして楽に資料を作れるのです。私の場合、M2・11月に国内学会で行った講演のスライドが、D1・10月の国際学会でのポスター発表用資料の作成に大変役立っています。M2で作ったスライドのイントロや実験方法などを少し編集しただけでポスターが完成。「過去の自分よ、ありがとう…」と遺産に大いに感謝した形。ゼロからポスターを用意するより遥かに早く作業が完了したわけです。

国内学会での発表時に目立つ (学生ならなおさら)

研究の世界は”注目されてナンボ”の世界。注目を集めなければ引用もされず、予算もつかず、共同研究や業務提携のお誘いなど到底望めません。スポットライトを浴びなかったら研究をやる側も面白くない。 (この研究をやる意味って本当にあるのかな…) とモチベーションの低下に繋がるでしょう。

発表資料を英語で作るのは注目度を高める手法の一つ。日本人が国内学会にて英語で作った資料で講演を行えば否応なしに目立ちます。学生ならばなおさらですね。 (おっ!この子、意識高そう♪) と他の研究者さんから感心/関心を持っていただけるのです。日本語でも資料を作成できるのにわざわざ英語で資料を作る。『そのひと手間を掛けられる人だ』と見なしてもらえるということです。注意点としては、英語で資料を作る学生を”生意気だ”と見なす方が稀にいらっしゃるという点。英語で作るなら高飛車にならず、低姿勢に謙虚な姿勢を崩さず発表するのが肝要。

日本語で作るより何だかカッコ良く見える^^

あくまで個人の感想ですが、日本語で作るより英語で作った方が何だかカッコよく映りませんか?私だけですかね、(めちゃくちゃ素敵だなぁ) と思ってしまうのは。フォントはTimes。『Introduction』や『Conclusion』など題名は斜体。それだけで随分とオシャレなスライドが出来上がる感じがいたします。まぁ、デザインに中身が伴っていないと何の意味もありません。英語資料で発表するなら周囲から傑出した研究成果が求められる点にご注意を。

デメリット

英語で発表資料を用意するデメリットは以下の3点⇩

  1. 発表言語と資料の言語が違っているのは何だか不自然
  2. 緊張で原稿をド忘れした際、何を言えば良いか思い出しにくい
  3. 難しい内容を発表する際、聴衆に理解してもらえない可能性がある

以下で一つずつ解説します。

発表言語と資料の言語が違っているのは何だか不自然

私が英語資料での発表を辞めちゃったのはどこか不自然さを覚えてしまったから。「口では日本語を喋っておきながら、英語で作ったスライドを映すのは何かが変じゃないだろうか?」と。話す言葉と見てもらう資料とで異なる言語なのが気持ちが悪い。日本語で話すなら日本語の資料を作るべきだし、英語の資料を用意するなら英語で講演を行った方が自然じゃないかなぁ、と。

私自身、英語で資料を作り始めたM2の最初には全く違和感がありませんでした。日本語で作った資料と同程度の自然さで講演を行えていました。ところがある日、研究室の同期から「お前の発表、不自然やわ」と上記の点を指摘されます。 (言われてみれば確かにそうだな) と自分でも気持ち悪くなってきたのです。結局、修士論文発表会は日本語でスライドを作りました。 (やっぱコッチの方が自分に合っているわ)と以降、国内での発表資料は全て日本語で作ろうと決めた次第。

緊張で原稿をド忘れした際、何を言えば良いか思い出しにくい

英語で資料を作った場合は発表時にも注意が必要。緊張で原稿が吹っ飛んだ時、「アレ、何を言おうとしていたんだっけ…」と記憶を辿って説明へ復帰するのに日本語資料より長い時間を要しがちに。日本語で作った資料ならば、次に述べるべき言葉のヒントがスライドに直接書かれています。しかし英語で作った資料の場合、言うべき言葉が発表言語とは異なる形で書かれている。すると発表者は

  1. 次に述べる説明のヒントをスライド中から探し当てる
  2. そのヒントを英語から日本語に翻訳する
  3. 翻訳したものをカギに記憶を辿って原稿をなんとか思い出す

という3つのステップを一つずつ踏んでいく必要があります。日本語資料なら②がない。そのぶん楽に記憶の糸を手繰っていけるというワケです。

そもそも発表時に緊張をしないとか、原稿を諳んじられるほどの記憶力の持ち主ならば問題ありません。ただ私のような凡人の場合、緊張はするし原稿はよく忘れるしで発表中に結構アタフタしがち。発表をなるべく安牌に終えたいならば日本語で資料を作った方が無難。恐れ知らずのチャレンジャーな方に英語での作成をオススメします。

難しい内容を発表する場合、聴衆に理解してもらえない可能性がある

いくら普段から英語の論文を読み慣れている研究者さんが聴衆だとはいえ、その場で初めて見たり聞いたりする内容を母語以外で理解するのは至難。まして、理論計算や複雑な実験など、抽象度の高いハイレベルな内容だとなおさら理解が捗りません。資料の構成や説明の仕方をよっぽど注意する必要があります。日本語資料と同じ調子で説明してもおそらく聴衆には伝わらないでしょう。

資料が日本語ならば理解へ一縷の望みがあります。 (まぁ、こういうことを言いたいのだろうな)と聞き手がある程度類推してくれるのを期待することができるのです。ただ英語の場合、 (コイツは何を言っているんだ…)と”理解しよう”という気持ちにさえなってもらえない可能性も。いや、コチラの説明がヘタクソだったら”理解しよう”という尊いお気持ちを挫いてしまう結果になりかねません。英語で作った資料で発表は説明力に自信のある上級者向けと言えそうです。説明力を高めるために英語で資料を作るのも一計。

最後に

発表スライド/ポスターを英語で作成するメリットとデメリットは以上になります。研究室生活を送る皆さんに幾らかでも参考になれば幸いです。

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