
GWに入り陽性者数が急増→ボスから「用のない人は研究室に来るな」との通達を受け取る

22020年に幕を開けた研究室生活は、まるで嵐の海を行く小舟のように、コロナ禍の荒波に翻弄され続けていた。ゼミは黎明期からオンラインの冷たい画面越しの開催となり、かつての活気に満ちた研究室は、人影もまばらな静寂の場と化していた。着席すらも、まるで将棋盤の駒を置くように、一つ一つ間隔を空けての着座を強いられる。B3までの、肩を寄せ合うような温もりある日常は、もはや遠い過去の幻のようだ。
そこへ追い打ちをかけるように、ボスから全構成員へ向けて渡されたメールは、より厳しい現実を突きつけた。『不要不急の在室は控えよ』との無機質な文面が、研究室という小さな社会の息吹を更に細めていく。同僚との何気ない会話や、食事を共にする喜び―研究室生活を彩る色とりどりの要素が、まるで色褪せた写真のように、一つまた一つと失われていった。
感染対策という大義名分の下で失われていく人との繋がりは、心に開いた穴のように、日に日に私を蝕んでいく。活力は枯れ葉のように萎れ、存在意義すら問い始める日々。B4・5月という研究生活の序章で、既に心は深い霧の中を彷徨っていた。
私の研究テーマは、独特な顕微鏡を駆使する繊細な実験だった。その装置は気難しい恋人のように扱いが難しく、その操作法の習得だけで一ヶ月も費やした。実験は当然、一度や二度で思い通りの結果を見せてはくれない。まるで暗闇の中で光を探すように、何度も何十度も、時には何百回も異なるアプローチを試みた。しかし、実験は依然として暗中模索の状態。指導を仰ぎたい先輩も、感染対策の壁に阻まれ、遠い存在となっていた。人との絆が途絶え、実験も停滞する中で、私は深まる孤独と失意の螺旋階段を降りていくような日々を送っていた。
GW最終日に彼女からフラれ、気分がどん底まで沈む

そんな私の心に止めを刺すかのように、運命は更なる試練を突きつけた。GWの終わりを告げる鐘の音とともに、2年半の歳月を共に紡いできた恋人から、終止符を打たれた。
これは紛れもない自業自得の結末だった。B3の春の旅で見せた私の狭量な態度は、彼女の心に深い失望の種を蒔いてしまった。些細な価値観の違いが、時として小さな亀裂となって二人の間に広がっていた。夜更けの彼女からのビデオ通話も、私の不注意な生活リズムによって空しく着信履歴に残るのみ。振り返れば、これほどまでに不出来な恋人もいないだろう。「これは避けられない結末だったのかもしれない」という諦念とともに、私は彼女との別れを受け入れた。
研究室という閉ざされた空間に、新たな出会いの機会など望むべくもない。これからの人生は、まるで砂漠を一人歩むように、孤独との永い旅路となるのだろう。結婚という人生の花は、私には遠い夢物語。存在意義すら見失いかけた日々の中で、ただ虚無の闇が深まっていくのを感じていた…

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