【半年がかり】イギリスの大学院へ長期私費留学するために行った事務手続き

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1としていただいている給与と科研費をフル活用し、D1・10月からD1・3月まで半年間、オックスフォード大学へ長期留学してきます。

この記事では、オックスフォード大学へ私費留学をするために行った全ての手続きについて記します。

  • イギリスの大学 or 大学院へ私費留学する予定/希望のある方
  • 私費留学について何らかの情報をお求めの方

こうした方々にピッタリな内容なのでぜひ最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

M2・3月:Oxfordの研究者に受入許可の打診→承諾

私の指導教員の元指導教員を通じてOxfordの研究者のMさんにコンタクトを取りました。『あなたの研究のエッセンスを取り入れれば自分の研究がもっと良くなるので半年間滞在させてくれませんか?』という趣旨の内容。私とMさんの研究チームはそれぞれ違う角度から同じ現象について解明すべく研究していました。私は実験的なアプローチ、Mさんらは理論的なアプローチで。実験一辺倒な自分にとって、現象の理論的な考察を行えるようになる事は重要。実験結果を説明できる強力な枠組みを得られるワケだから。メールを送ってもらった半日後にMさんから「来てもいいよ♪」とのお返事が。DC1のお金を使って私費留学へ行くことが決まりました。受け入れ側からお金を出して頂くわけではありませんから、よっぽど自分が嫌われていない限りはどこの研究室でも受け入れてもらえます。コレが私費留学の強みです。学振DC1様々であります。

D1・4月~D1・5月:受け入れ研究者のMさんとメールで実験内容のやり取り

受け入れてもらえるのが決まったのち、Oxford滞在中の研究内容についてMさんと何度かやり取りをしました。正直、Oxfordへ行けるなら何をやる事になっても構わなかったのですが、ご親切にMさんから「○○について研究しているキミはこういうのに興味があるんじゃないかい?」と面白そうな研究テーマを2, 3個提案していただけました。そのうちの一つに食いついた。「コレをやらせて下さい!」とお返事をした。Mさん、「分かった。準備しておくね」と返事を返して下さりました。何をやるかが凡そ定まり (自分、ホンマにOxfordへ行けるんだなぁ…)と感慨に耽ったD1の4月。

5月初旬、Mさんから「手続きに必要だからパスポートのコピーを送ってちょうだい」との連絡が。「分かりました」と家の奥底に眠っていたパスポートを引っ張り出してきてスキャン。パスポート云々が始まった時は”留学の手続きをやっているなぁ”との感が非常に強かったですね。一人で初めて海外へ行くのでパスポートを使ったことがないし、初めての海外がOxfordだからパスポートも”マジで?!”とビックリしていた笑。パスポートのコピーを送ったのち。Mさんと1か月間ほど連絡が取れませんでした。メールを送っても返信をいただけず (どうしたんだろう…?)とついつい不安になった。

かめ

ちなみに私、これまで英語でEmailを書いた経験がありませんでした。下手クソな英語を書いて送っても通じないかもしれませんので、
①自分で英語を作る
②ChatGPTへ放り込み、『この英語を校正し、さらにイギリス英語に翻訳して』と指示を出す
③念のため生成された英語に目を通して最終確認→送信!
この3ステップを踏んでそれなりの英語を作っていました。

D1・6月~D1・7月:オックスフォード大学側の事務手続き期間

6月中旬、久々にMさんからの連絡が。

Mさん

しばらく返信できてなくてSorryネ。いまOxfordの事務手続きがめちゃくちゃややこしくて作業が滞っているんだよ

と事情を教えて下さりました。Mさん、決して何もしていなかったわけではなかったらしい。むしろ事務方へ「もっと早く手続きをしてもらえないかな」と何度かせっついてくれていたみたい。事情が分かってひと安心。いま何がどうなっているのか分からなくて不安を抱えていたのですから。

日本人とイギリス人とではどうも感覚が違うようです。日本人はなるべく仕事優先でテキパキ作業をするんだけれども、イギリス人は仕事と同じぐらいプライベートを重んじるから仕事のペースが早くはない。 ”(明日には連絡を返してくれるだろう)と思っていたら一週間後の連絡だった”なんて普通。何度もしつこく連絡をしないと相手が忘れてしまっているケースも。日本人と接するのと同じ感覚で外人と接したらダメだと分かった (←遅いでしょ笑)。もう少し心にゆとりを持って肝要な態度で生きなくてはならない。

D1・8月:航空便を予約。北大の外部資金担当の方へ科研費の使用範囲について問い合わせ

初旬、Oxfordの事務員さんからの連絡が。「あなたの留学期間、10月1日から3月31日でいい?」といった確認のお便りでした。イギリス行きの航空便の予約は8月時点でまだしていません。最悪の場合、留学へ行けなくなる可能性を考慮しての未購入。連絡があった当日にネットで便の残席や値段を慌てて検索。使用したのはskyticket。日程と行き先を入力すれば安い便を教えてくれる。渡航予定日の10月1日は日曜日ということで値段が高め。翌日2日・月曜日は1日より8万円近く安く行けそう。他人のお金で行くのだったら1日でも2日でも良いのです。身銭を切って留学するから移動費は少しでも安く済ませたい。留学開始日は10/2に。留学期間が一日短くなってしまうけれども致し方ない。帰国の便も同時に検索。3/30, 3/31は値段が高く、3/29に帰ることに。Oxfordへ「移動費の都合上、10/2から3/29でお願いします」とのお返事をした。それからすぐに便を予約。往路は東京・羽田からロンドン・ヒースローへBritish Airwaysを使って赴き、復路はヒースローから羽田へ我らが日本航空を使って帰国。

かめ

一年や二年といった超長期留学ではなく半年だけの長期留学としたのは、
お金の都合で半年以上の留学はどうも厳しそうだから
②イギリスへビザなしで入国できるのが半年までだから
これら2つの理由があります。ホンマは博士課程の間に一年ぐらい海外に居たかった。カネはない、ビザもないのではそこまで長くは居られません

8月末、留学で使用する科研費の使い方について北大の外部資金担当者さんとお話をしました。『科研費を使える範囲はどこからどこまでなのか』について具体的な相談。基本的に科研費は研究に関するモノなら何でも使用できるみたい。航空券や宿泊費、学会へのエントリー代など、自分が想定していた全ての出費を科研費で賄えると教えていただきました。科研費の使用枠が年間140万円分あるからお金の心配はほとんどない。しかも科研費、今年度から基金化したらしく、来年度分の科研費枠を今年度にも使わせてもらえるよう。今年度分の科研費の残額はおよそ100万円。来年度分と合わせれば総額240万円使用可能。240万円あれば渡航費と半年分の機関在籍料 (後述) と宿泊費をだいたいカバーできます。けれども半年で精いっぱい。滞在可能な半年間、留学を存分に楽しむしかない。

同日、スポンサー元の日本学術振興会 (JSPS)へ渡航届を提出しました。オンラインで簡単に提出できたのでコチラはかなり楽でした♪

D1・9月:突如、バタバタと手続きが開始

留学1か月前の9月になって手続きが急に進みました。

  • Invitation Letter (招待状)が届いた
  • 機関在籍料の支払い方をOxfordへ連絡
  • Oxfordの学生証用個人情報を登録

以下で一つずつ解説します。

9/15 (渡航17日前):Oxfordから正式なInvitation Letterが届く→修正・サインして返信

Department of Engineering Science | University of Oxford

オックスフォード大学から正式なInvitation Letterが届きました。コレで留学が正式に決定。10/2から3/29まで半年間、OxfordのVisiting Student (客員学生) として自由に活動できるみたい。招待状を見たときは思わず鳥肌が立ってしまいました。ニワトリやカラスよりもはるかに鳥らしい肌をしていた笑。 (こんな自分がOxfordへ行けるなんて…!) と嬉しくてそこら中を飛び回ります。足の小指を角にぶつけて「痛い……」と呻くもまた飛び回る。夢見心地とはこの事を指すのか。足が地についていないようで随分フワフワとした感覚でした。

9/17 (渡航15日前):機関在籍料767£/monthの支払い方法をOxfordへ連絡

客員学生として滞在する以上、Oxfordへ在籍料を幾らか支払わねばなりません。事務員さん曰く、「月々767£ (ポンド)よ」とのこと。当記事を作成した2023年9月23日、一ポンドがおよそ180円前後で緩やかに推移しております。よって在籍料は767£/month×180円/£≈14万円/monthといった計算に。「6か月分を一括で支払う?それとも6回に分けて支払いたい?」と聞かれ、「分割で支払います」と返しました。円安・ポンド高の相場が少しでも円高側に振れるのを願っての返事。在籍料はオックスフォード大学の口座へ支払ってくれとのこと。「クレジットカード払いは無理っすか?」「ごめん、受け付けていないの…」こういうケースへ対処するために国際送金カード『Wise』を契約しておいたんですよ。たとえイギリスに自分の口座を持っていなくてもWiseがあればOxford大の口座へ送金が可能ですから♪

9/18 (渡航14日前):Oxfordの学生証用写真と個人情報をWEB上で登録

客員学生にもかかわらず、Oxfordさんはご丁寧に私の学生証を作ってくれるみたい。「写真と個人情報の入力をよろしくね」と伝えられ「分かりました」と応じてWEB上で登録。コレ、北大の学生証を作ってもらうよりよっぽど手続きが簡単でしたよ笑。北大って個人情報を学生カードへ手書きで記入させるし、証明写真も証明写真機で撮って印刷したものしか受け付けてくれませんからね。完成した学生証はOxfordで受け取れるらしい。受け取ったらブログへ自慢気にアップしようと思っています。

かめ

書きながらふと思ったのですが、学生証があるってことはOxfordの図書館にも入館可能って事なんですかね…?もしそうなら超嬉しいです。フリー素材サイト見たOxford図書館の雰囲気が本当に好きだったので、”あの場所に立てるかも…”というだけでワクワクがとまりません (*≧∀≦*)

最後に:手続きは大変じゃなかったけれども、、、

オックスフォード大学へ長期留学するために行った全ての手続きはコレで以上。手続き自体もややこしかったし、相手と連絡のつかない期間が長くて不安だった点が特に辛かったです。

主流な交換留学と違い、私費留学は大学側も対処に慣れていないケースが多い。日本と受け入れ先の大学側に何をやって欲しいのか/要求されているのかを冷静に見定め、焦れずに根気強く一歩ずつ手続きを進めていくのが肝要です。

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