博士課程早期修了への道†5 論文の骨子が完全破綻。新しい研究計画も共倒れ。早期修了に暗雲が立ち込める

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A報が完璧にぶっ壊れた。論文の骨子が木っ端みじんに

博士早期修了に必要な論文出版数はあと二報。うち一報 [A報]は先月までに日本語原稿が完成済み。国研の共同研究者さんにチェックをお願いしていた所。今月初旬、共同研究者さんから連絡が。”この論文、書き直した方が良いかもねぇ…”だそう。論文の核心となる考察パートに重大な学術的欠陥があったようです。このまま論文を英語化して投稿したら査読で炎上してしまいかねない、と。A報の骨子が木っ端みじんに破綻。あと少しで完成だと思っていたA報はただのハリボテだったみたい。

専門分野の初歩の初歩で致命的なミスをやらかしました。どの理論式をどの条件で適用できるかに関する理解が不十分だったのです。しっかりと勉強していたつもりだった。論文を書き上げられるだけの十分な知識を積み上げ切れていなかった。D1の一年間、実験を行えなかった弊害がこんな所に顕れてしまいました。理論的に適用不可能な条件で式を適用しようとするなど、日頃から実験をやっていればまず犯さなかったはずのミス。いくら専門書から知識を吸収しても机上の空論に終わってしまう。本から仕入れた知識を実験で確かめてみてようやく使える知識になるのです。いくら論文や専門書をたくさん読んでも頭でっかちになっていく一方でしょう。まぁ、国研に出入りできず、一切の実験を行えなかったD1の一年間は知識吸収に充てざるを得なかったのですが…

B報用データ収集計画も壊れた

A報の破綻だけでも大ダメージ。早期修了できるか/できないかの瀬戸際にまで追い込まれた状態。悪いことに続報 [B報]の実験計画も崩壊しました。A報に記した議論形式をそのままトレースするつもりで新たな実験予定を組んでいたからです。A報が間違っていればB報も誤った内容になる… まさか議論が根元から誤っているだなんて予想外。青天の霹靂でした。

仮にA報が壊れても大丈夫なよう、A報とB報を独立させる作戦も一時は考えていました。実のところ私自身、A報の議論は少し危ういかな…と朧気ながら破綻のシナリオを想定していたのです。早期修了を盤石にするにあたって少しでも実験時間を削りたい所。A報とB報を12月の予備審査前にアクセプトまで持って行くべく、一か月でも、いや一日だって無駄な時間を削り取らなくてはなりません。A報用とB報用のデータを別々に集めていたら時間がかかって仕方がない。論文内で使用するデータや議論を半分ぐらい共通のモノにしておけば、A報完成後、A報作成に要した半分の時間でB報を組み立てられるでしょう。

A報とB報とを運命共同体にするしかない。A報に何の問題もないことを信じてB報の実験計画を練っていたのです。自動車会社だって別の車種に同じ部品を使う。弱者の戦略・コモンアーキテクチャー (Common Architecture)。人間だって論文用の議論を使い回しても構わないでしょう。

つくば出張に行った翌日、持参した研究計画が砕け散った

5月中旬からM2・3月以来、14か月ぶりにつくばの国研へ。博士課程二年目にしてドクター最初の実験に着手。つくばへはA報修正用とB報投稿用の研究計画を持参。計画が壊れても構わないよう、予備の案をそれぞれ3つずつ用意しての出張。普段のつくば出張では事前に研究予備案を5個ぐらい作ってから向かいます。今回3つしか作らなかったのは、作『れ』なかったから。実験からあまりに離れすぎていて良い案が思い浮かばなかったのです。14か月間もブランクがあったら浦島太郎状態。研究に関するアイディアが全く降りてきません。

まぁ、予備案は所詮、予備にすぎないのです。本案に何の問題も無ければ予備案の出番はありませんから。予備案に出番が回ってくるような事態はかなりマズい状況。予備案の出番が来ないことを信じ、つくば到着翌日から馬車馬の如く実験。早くデータを集めて早期修了を手繰り寄せたい。あぁ、久々の実験は楽しいなぁ。A報用のデータ集めは大丈夫そう。本案に掲げていた実験のデータが予想通りの傾向を示し、ガッツポーズ。破綻したパートを差し替えられるだけのデータが一週間で揃いました。順調順調 (*≧∀≦*) …事はそう簡単に運びません。

A報が大丈夫だと思ったら、今度はB報用の実験計画が破綻。手持ちの道具や国研内に転がっているツールだけでは実験を行えそうにありません。実験試料があまりにデリケートすぎて自分の力量では到底扱い切れないのです。何じゃこりゃ、暴れ馬やん。コイツを使ってどうやって実験しろと?やろうと思えばできるのかな。でも、扱いに苦戦しているうちにタイムアップになっちゃったら目も当てられない。出張期間は7週間。A報用の実験に1週間使ったから、B報に使える時間は6週間。実現困難なこの計画に貴重な6週間を費やして大丈夫か?何の実りもない、ゴミくずだけを量産するだけの一か月半になりはしないか?計画をスクラップにするなら今のうち。引き返せるうちに引き返すか、それとも本案や予備案とこのまま心中するか…

早期修了できるかは分からないけれども

私が選んだのは【計画を白紙に戻す】方。つくば滞在中にB報用の実験計画をゼロから作り直すことに決めました。博士課程が白紙になったら笑い話だ (笑えない)。”博士課程よりかは研究計画を白紙にする方がまだ傷は浅い”と判断。

血眼になって先行文献を調査。自分が思い付いた実験が軒並み他のグループに先にやられていて戦慄。自分の仕事、全然無いやん。論文を出す隙が最早どこにも無さそうに見えました。時間がどんどん無くなっていくにもかかわらず、研究計画が一向に固まってこない。焦りがどんどん募っていって思考回路が破綻寸前に。時間がない!でもアイディアもない!どうすればいいの?!パニック寸前の頭では良い案など思いつけるはずもない。かといって焦らずに済ませられる状況でもない。あぁ、、、もうっ!何でこんなことになるんだ。D1の空白の一年間が悔やまれる。あの一年で継続して実験を行えていたら今ごろ余裕で旅行へ行っていただろうに。

…諦める?諦められるわけがない。ここで勝負を投げ出したが最後、早期修了への道が完全に断たれてしまう。大学受験浪人のリベンジも、小さい頃から憧れていた企業への就職も、広島で乗馬を再開する希望も何もかも叶わなくなる。通常年限での博士修了も無理。『二年で終わるから頑張ろう』と自身に言い聞かせて頑張ってきた自分がもう一年耐えられるとは思えない。今まで積み上げてきたものが全部崩れてしまう。これまで精いっぱい26年間頑張ってきた人生がたった一瞬の油断でぶっ壊れるのを正視できない。

生みの苦しみを死に物狂いで堪えるしかない。アイディアがなければひねり出すのみだ。日常に潜むありとあらゆる情景から研究のヒントを見つけ出してやる。風呂も、食事も、スーパーも、国研職員の服の色からも何か実験の着想を得られるはずだ。早期修了できるかは分からない。正直、自信はない。もしかしたら出来ないかもしれない。けれども簡単に諦めたくはない。人事を尽くして天命を待つ。今は最善を尽くすしかない。最善を尽くさずギブアップするなんて自分らしくない。まだ、あがく体力はあるはずだ。たとえどれだけ心身がすり減っても時間切れになるまでは絶対に諦めない

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