研究室生活春夏秋冬vol.58 D2・12月|誕生日を絶景で祝う。株価と学位審査会での気分乱高下にメリークルシミマス

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北大えるむ賞応募

北大には「えるむ賞」という懸賞が設けられている。課外活動で優秀な成績を収めて北大の名誉向上に貢献した学生に与えられる。授与対象は毎年10~20名程度。部活やサークル、趣味に研究活動など多彩な業績が賞の授与対象だ。えるむ賞は大学公認のオフィシャルな賞。ブログはもちろん、履歴書や職務経歴書にも堂々と記すことができる。私や小学生が勝手に作った「がんばったで賞」など全く比にならぬほどの権威。えるむ賞を掲げた私の前に、現役北大生はははぁ~とひれ伏すわけだ。賞状に加え、副賞で10万円が与えられる。10万円はデカい。引っ越しでお金が飛ぶように消えていくこの時期、銀行口座へ少しでも多くの資金を注入しておきたい。

工学部正面玄関のウォーターサーバーへ水を汲みに行った。その帰り道に掲示板にて偶然えるむ賞の公募チラシを目撃。応募締め切りはなんと2日後。水を汲みに行かねば懸賞の存在に気付かぬままだったかもしれない。チラシを見つけたのも何かの運命。何故だか分からぬが、受賞する予感がプンプン漂っている。不戦敗に終わった育志賞のリベンジをしよう。応募するのはタダだ。落ちたとしても何らダメージはない。

申請に用いた業績は、先月フィニッシュした福知山マラソン。北海道大学の名を勝手に背負って参戦した。フルマラソンを2時間42分14秒でフィニッシュ。上位1%以内に入る3770人中27位。25~29歳の部では3位。北海道ブロックでは優勝した。後日、マラソン大会事務局から金&銅メダルを頂いた。この業績だけだと他の連中に負けてしまう。そこで、業績へのフォーカスの当て方を工夫した。付加価値を付け加えた。「文武両道を体現しつつ」2時間42分14秒でフィニッシュしたと述べたわけだ。あぁ、学振DC1で申請書を書き慣れておいてよかった。屁理屈をこねくり回すのが随分と上手くなったような気が。

推薦書に記した自己推薦理由を以下に記す⇩

日本学術振興会特別研究員DC1として次世代電池材料開発研究に従事する傍ら、市民トップアスリートとしての道を追求してきた。この二つの挑戦は、限られた時間の中で最大限の成果を追求する、北海道大学が理想とする全人教育の成果を体現するものである。

学部1年次から北大構内での早朝ランニングを開始し、その後着実に実力を向上させてきた。学部3年次には初のフルマラソンで2時間59分を記録し、修士課程では100kmマラソンを9時間1分で走破するなど、研究活動との両立を図りながら成長を遂げた。今回の福知山マラソンでは3,770名の参加者中で上位0.7%に入る2時間42分14秒でフィニッシュした。この記録は、日本陸上競技連盟の定める年齢別ランキングにおいて上位に位置づけられる傑出した成績である。

陸上競技と並行して、研究においても優れた成果を残してきた。次世代電池材料開発という最先端の課題に取り組み、採用率17%の競争率を突破して日本学術振興会特別研究員DC1に採用された。学士課程から現在までに筆頭著者論文を国際学術誌で6報発表した。その研究成果は国内外の学会で高い評価を受けている。また、国立研究所との共同研究を通じて、基礎研究の知見を社会実装する取り組みも進めている。研究室内では後輩学生の実験指導を担当し、さらに定期的なランニング教室を開催して研究室メンバーの健康増進活動にも尽力している。これらの研究業績により、標準修業年限より一年短縮での博士号取得が認められることとなった。

個人ブログでは、ランニングに関するトレーニング方法や栄養管理、モチベーション維持のコツなど、自身の経験に基づいた知見を発信し続けている。また、北大受験生向けの情報発信も積極的に行っており、研究生活や大学生活の実態を分かりやすく紹介することで本学の魅力を広く伝えている。月間2.5万回の閲覧数は、これらの情報発信が多くの読者から支持されている証である。

カーボンニュートラル社会の実現に向けた次世代蓄電池の開発という未踏の課題に挑戦し続ける研究者としての姿勢と、自身の限界に挑戦し続けるマラソンランナーとしての実践は、北海道大学が掲げる「フロンティア精神」を体現している。さらに、基礎研究の知見を実用化へと展開する取り組みと、理論に基づいたトレーニング実践による記録向上は、「実学の重視」の理念そのものである。このように研究と競技の両面で北海道大学の理念を体現する取り組みは、特にえるむ賞表彰に値すると考える。

自分で自分を褒めるのは恥ずかしい。恥をかなぐり捨てなきゃ自己推薦書など記せない。にしても、我ながら素晴らしい自己推薦書が出来上がった。もはや採用される予感しかしない。全人教育を体現する、大変素晴らしく模範的な北大生であろう。誰がどう見たってえるむ賞受賞にふさわしい。マラソン入賞・学振DC1・早期修了・ブログ発信のクワトロパンチは相乗効果無限大。勝てる奴なんかいるのか?…いるよな。ふたを開けてみなければ分からない。

えるむ賞の選考は年明けに行われるそう。授賞式は3月17日。採用されることを切に祈る。

海外旅行を我慢できなくなって

研究室の後輩が長期休暇で海外旅行へ出かける話がチラホラ耳に入ってきた。行き先はバラバラ。それぞれの友人たちとタイやイタリアやトルコなどへ行くらしい。これまでの自分なら「あっ、そう」で関心を失っただろう。D1後期のイギリス留学で散々な目に遭った。海外旅行に対する憧れなどひと欠片もない。海外よりも日本の良さに目を向けて国内旅行を選んでいたはず。

しかし、何といっても今年は学生ラストイヤー。来年度から会社員。時間的自由のない生活が待ち構えている。学生時代に留学以外でまだ一度も海外へ行ったことがない。行ける時間があるときはお金がなかった。行けるお金がある時に限って忙しかった。今年の春なら時間もお金もある。行くなら今だ。今しかないのではないか?

なかなか旅行へ行けぬ憂さ晴らしのため、旅行関係の国家資格試験に挑戦した。D1の9月には国内旅行業務取扱管理者試験を、D2の10月には総合旅行業務取扱管理者試験をパス。資格を取って旅行業務のプロとなった。旅行は現地へ行くからこそ価値がある。試験に通るだけでは何の意味もない。旅行へ行けない自分を慰めるために受けた試験が旅行欲を増大させた。海外へ行きたい。ヨーロッパへ、あるいは東南アジアのどこかへ飛んでいきたい。

旅先へ思いを巡らせたとき、真っ先に挙がってきたのが。元気で陽気な印象のあるスペインへ行って活力を得たいと思った。スペインではサグラダファミリアを見てみたい。あの壮麗な建築物を目の当たりにして鳥肌を立たせたい。バルやレストランでパエリアを食べてみたい。ゲロみたいな料理の出るイギリスと違ってスペインは美食大国。グルメの面で何の心配もない。

ちなみに、北大B1での第二外国語はスペイン語だった。簡潔な文法。聞き取りやすい発音。たちまちスペイン語学習に魅了された。B1以来、研究で忙しくなったD1まで細々と勉強を続けていた。スペインへ行く前にスペイン語を復習しておけば、現地でちょっとしたスペイン語会話ができるかもしれない。想像するだけでワクワクしてきた。こんな高揚感、いつぶりだろう。渡英したとき以来かな。

気が付いたら身体が勝手にスペイン行きの航空便をポチっていた。往復ともにエティハド航空へお世話になるらしい。行きは成田からUAEを経由してバルセロナに着く。帰りはマドリードからUAE経由で成田へと戻ってくる。イベリア航空とJALによる、成田とマドリードを結ぶ直行便の設定もあった。さすがに16時間もずっと同じ席に座っていられないので自重しておいた。ついでにアゴダでホテルも予約した。ホステルはもう勘弁。少し安めの個室ホテルを手配した。

フライトと宿泊を合わせ、8泊9日で25万円もの出費になった。家賃を除いた二か月分もの生活費に相当する額。いつもの金銭感覚なら、このような大金をポンと出すなどありえない。何の縛りもなく海外へ気軽に行けるラストチャンスだろうからすんなり出せた。

何だかんだいってもイギリス留学は強く印象に残っている。思い出は絶対値。良い経験も悲惨な経験も何年か経ったら宝物になる。経験しなくちゃ後には何も残らない。一歩踏み出すことで初めて何かを得られる。海外旅行もそう。行かなきゃ始まらない。25万円に相応しい経験をしてみせる。スペイン旅行を機にスペ語学習熱が再燃し、スペ語を極めてスペイン人と仲良くなるチャンスがあるかもしれない。アメリカは英語よりもスペイン語の方がよく通じると聞く。将来、企業からアメリカに飛ばされたとき、彼の地で生きていくのにも役立つだろう。

メリークルシミマス

別に今に始まったことではないが、今年も一人でクリスマスを迎えた。恋人とクリスマスを過ごしたのはB2で最後。以来、6年間ずっと一人でのクルシミマス。街中ではカップルがここぞとばかりにイチャイチャを見せびらかしてくる。手を繋いだり腕を組んだりして二人三脚のアツアツな共同作業。家に帰ったら暖かい鍋料理でも食べるのだろう。夜な夜な共有結合でもするのだろうか?ああ、羨ましい。一緒に過ごせる相手がいるだなんて。

自分は今日、大学で朝5時から10時間ほどブログ執筆作業をした。昼と夜は玄米とイワシ缶と豆腐を食べた。シロクマのぬいぐるみを撫でて癒され、シロクマのぬいぐるみと握手。夜は9時に消灯。毎日こんな感じ。最近はアザラシのぬいぐるみを買おうか検討している。灰色でモフモフしたゴマフアザラシをギューッと抱きしめて癒されたい。

私が単調な生活を営んでいるのは、断じて彼女が欲しくないからではない。彼女は欲しくてたまらない。しかし、どう頑張っても彼女なんかできなかった。勇気を出してやってみたマッチングアプリでは、一年間、誰ともマッチングしなかった。自分の恋愛市場価値が底辺だと思い知った。恋人づくりなどもう諦めろと神様に言われているみたい。神の啓示を素直に受け止め、おとなしく精進生活をしている。

はて、イエス・キリストは誰だろう。聖夜にイチャつくようカップルに仕向けたのは誰だろう。クリスマスって何だろう。そもそも、幸せって何なのだろう。夜な夜な一人でずっと考えていた。おかげで寝不足。4時間半しか眠れなかった。クリぼっちのみなさん、メリ~クルシミマス。“What is Christmas?” と首をかしげながら死ぬまで一緒に苦しみ続けようじゃないか。

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