大学生の間に必ずやっておくべきこと5選|勉強、読書、語学など

北大に入学した日のことを、今でもよく覚えています。2018年の4月、札幌はまだ雪が残っていて、着いた瞬間に(あ、寒い)と思いました。

北海道の4月はまだまだ冬です。入学式のスーツの下にヒートテックを二枚重ねしていたのを白状しておきます。周りの道産子たちが普通の顔で歩いているのを見て、(この人たちは人間なのか)と本気で疑いました。

あれから8年。学部4年間と大学院4年間、合計8年を北大で過ごし、博士号を取って社会に出ました。挫折したり迷ったり、たまに全部投げ出して焼き鳥屋でも開こうかと思ったりしながら、どうにかこうにか生き延びて学位を手にしました。今は企業の開発部門で会社員をやっています。

8年間の大学生活を振り返ってみると、やっておいてよかったことと、やらなくて後悔したことの両方がはっきり見えてきました。しかも、社会に出てから見えるものもある。学生時代には気づけなかった価値が、会社員になって初めてわかったりする。

今さら後悔しても遅いので、せめてこれから大学生活を送る皆さんに、8年分の知見を共有しておこうと思いまして。

この記事を届けたい相手は、

  • これから大学生活を始める学部新1年生の方
  • 大学にも慣れてきた2〜3年次の方
  • 卒業を間近に控えた4年生の方

要するに、大学生なら誰でも。あるいは大学生じゃなくても、かつて大学生だった全ての人に読んでもらえたらうれしいです。

目次

大学の勉強に全力で取り組め

いきなり身も蓋もないことを言います。大学では勉強してください。教養科目も専門科目も関係なく、履修するもの全部に本気で取り組んでほしい。

こう書くと、画面の向こうから「大学に入ってまで勉強かよ…」とため息が聞こえてきそうですね。気持ちはわかります。自分だって、大学1年の頃に、先輩からこんなこと言われたら無視します。

でも、大学って本来は勉強するための場所なんですよ。部活やサークルの拠点ではなく、知的フロンティアを切り拓くための研究機関なのです。国公立大学なら年間54万円の授業料を払っています。54万円を握りしめて遊びに行くのはさすがにもったいなさすぎる。ディズニーの年パスより高いんですよ。

もちろん遊ぶなとは言いません。勉強に余裕が出てきたら思いっきり遊べばいい。人間関係の中で処世術を学べるのも大学の醍醐味ですから。ただ、優先順位を間違えないでほしい。学業が先で、遊びは後。順番をひっくり返すと、4年後に取り返しのつかない差が生まれます。というか、先に遊んじゃったら、勉強する気なんて起こりませんよね。

学部生としての勉強の到達点は、自分の学部・学科の基礎知識をひと通り頭に入れていること。経済学部なら経済学全般、工学部の化学系なら化学系の基礎全般。誰かにパッと話題を振られたとき、(ああ、あの話ね)と反応できるかどうかが一つの目安になります。専門的な深い議論は大学院まで行かないと難しいにしても、基礎的な知識なら学部レベルで十分に身につけられるはずです。

そして勉強を頑張っていると、卒業時の就活でそのまま武器になります。そう、ガクチカに勉強を使えるんです。私自身、就活では勉強をガクチカとして語り、企業から内定をもらいました。面接官に「勉強を頑張りました」と言うと一瞬キョトンとされますが、中身を話せば納得してもらえる。アフリカに学校を建てに行くより、よっぽど楽だと思いませんか。

勉強している人としていない人とで、差は目に見えて広がっていきますよ。実際、学部4年間を見渡してみても、勉強した人としなかった人では、目の輝きから姿勢まで何もかもが違ってきていました。皆さんにはぜひ勉強する側に立っていただきたい。混迷を極める時代だからこそ、勉強で培った思考力が自分を助けてくれます。AIを使いこなすためにも、ホンモノの学力を備えていただきたい。

本を読め。全集を読め。偉人と魂をぶつけ合え

二つ目に推したいのが膨大な量の読書です。

大学生活には、使い切れないほど大量の時間が転がっています。使い道に迷ったなら、一冊でも多く本を読んでください。読書は知識を広げてくれるし、思考力を鍛えてもくれます。日本語のセンスだって読んだ分だけ研ぎ澄まされていく。口を開けてYouTubeをぼんやり眺めている時間の100倍は実りがあると、8年間読み続けてきた人間として断言できます。

最初は何から読んでも構いません。漫画でもいいし、小説でも雑誌でもいい。まず読書の習慣をつけることが大事で、少しずつ難易度を上げていけば挫折せずにステップアップできます。

本を選ぶときは、二つの視点を持つと捗ります。

  • 大学生の間に読んでおかなきゃ意味がない本
  • 社会に出たら読めなくなりそうな本

ひとつ目の視点でいうと、大学時代にやっておくべき○○のこと系のハウツー本がうってつけです。書店でも図書館でもいいので、一冊手に取って心の師匠と崇め奉り、4年間かけて全項目の制覇を目指してみてください。何をすればいいかわからない日々に行動指針を与えてくれるし、項目を一つずつ潰していく過程でゲームのクエストみたいな楽しさが生まれてきます。

私の場合は、大学1年の6月に北大の北図書館で中谷彰宏さんの『大学時代しなければならない50のこと』と出会い、4年間ずっと師匠として仰ぎました。50個の項目を印刷して家の玄関に貼り、クリアするたびにチェックマークを書き込んで(あと○○個……)とカウントダウンしていました。懐かしい…

ふたつ目の視点では、古典に手を伸ばしてください。世の中に本は無限にあり、全部読むのは物理的に不可能です。だからこそ、時代を問わず読み継がれてきた古典を選ぶのが合理的なんですよ。

自己啓発本やビジネス書は社会に出てからでも読めます。実際、会社員になった今でも簡単に読める。ビジネス書って、忙しい人向けに噛み砕いて書かれた本なんですよ。だから、時間がたっぷりある学生時代にわざわざ読む必要はありません。もしどうしてもビジネス書を読みたいなら、せめてビジネス書の古典を選んでほしい。世のビジネス書の9割は、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』とデール・カーネギーの『人を動かす』『道は開ける』の焼き直しです。

さらに時間があるなら、好きな作家の全集に挑んでみてください。大学図書館に行けば、三島由紀夫全集や川端康成全集が棚に並んでいるはずです。全集を読むのは体力的にかなりハードですが、読み切ったときの脳のアップデート感は尋常じゃない。作者の魂に直接ぶつかりに行く行為ですから。

初期の作品は技術が未熟で読みにくいものもあるでしょう。けれど、未熟さも含めて受け止めながらページをめくり続けていると、ある地点で著者と自分の境界があいまいになってくる瞬間が訪れます。憑依されたみたいに読む手が止まらなくなり、むしろ(いつやめればいいんだ)と困るほどになる。読み終えたあなたの頭には著者の思考回路がインストールされていて、気づけば著者に似た表現で話したり書いたりしているはずです。怖い話みたいですが、実際にそうなります。

全集に興味が出てきた人には、まず夏目漱石全集をおすすめします。全集の中では比較的読みやすいので、最初の一歩として漱石さんから始めてみてはいかがでしょう。

日本語力をまず磨け

三つ目は日本語力の強化です。多彩な語彙を操り、自分の考えを思い通りに表現できる日本語力が、全ての知的活動の土台になります。

世間では「学生のうちに英語力を伸ばそう!」と盛んに叫ばれていますね。でも、冷静に考えてみてください。日本語すらまともに使いこなせない人間が、外国語を使いこなせるわけがないと思いませんか

人間の思考回路は母国語で組み立てられています。日本人なら日本語、トルコ人ならトルコ語で物事を考えている。母国語の力が低ければ、思考の質も低くなってしまうんですよ。英語の力を伸ばしたければ、まずは日本語の力を伸ばすべきです。上で書いた勉強と読書の習慣が、日本語力の底上げにそのままつながっていきます。

ここでひとつ、世間の風潮に逆らうことを言わせてください。大学時代に英語なんてやらなくていい。少なくとも私はそう思っています。

中途半端に英語の勉強をするぐらいなら、英語で話すべき”中身”の方を充実させましょう。英語を話せないなら通訳を立てればいいし、究極的には外国人に日本語を勉強したいと思わせるぐらい日本を魅力的な国にすればいい。普段の生活で英語を使わないのに、英語が話せるようになるはずもないし、海外志向の学生以外は話せなくたって全く問題ありません。Helloが言えれば十分。あとは英語の得意な人に任せて、自分は日本独自の文化や技術を磨く方にエネルギーを注ぐべきです。

…とは言いつつも、中学から6年間やってきたんだから少しぐらいは話したいですよね。大学でも英語の必修はあるし、逃げようにも逃げられない。

私の場合は試行錯誤の末に瞬間英作文にたどり着きました。簡単な英文を瞬発的に作り続けることで、脳の中に英語を生み出す回路を強引に作ってしまう手法です。半年間、毎日やり続けた結果、突然ペラペラ話せるようになりました。英語力を高めたい方はぜひ試してみてください。ステージ1からステージ4まで段階が分かれているので、自分のレベルに合ったところからスタートできます。

もし余力があるなら、大学で出会う第二外国語にも手を出してみると、世界が広がりますよ。高校までは英語が唯一の外国語でしたが、まったく違う言語体系に触れると、(英語以外にも外国語ってこんなにあるのか)と視野がぐっと開ける。

ひょっとすると英語より自分の脳に合う言語が見つかるかもしれません。韓国語やスペイン語は日本人にとって習得しやすいとされていますし、英語が嫌なら第二外国語を第一外国語として勉強するのも全然アリです。私はスペイン語を履修したものの、文法のややこしさにギブアップして、インドネシア語に乗り換え、そちらを習得しました。

何かひとつ、4年間やり通せ

四つ目。何でもいいから、一つのことを4年間続けてください。勉強でもバイトでも読書でもスポーツでも構いません。自分でこれだと決めたものを意地でも手放さず、4年間やり通してみる。

やり通す過程で手に入るものは、大きく分けて二つあります。

  • 一つの分野でセミプロになれる
  • 何があっても投げ出さない継続力が身につく

大学に入ってから始めたことであっても、4年間打ち込めばかなりのレベルに到達できます。野球なら守備のフィールディングが目に見えて上達するでしょうし、バイトなら迅速かつ要領よく仕事を回せるようになっているかもしれない。実技面にとどまらず、練習の組み立て方を覚え、時間の使い方がうまくなり、メンタルの保ち方もわかってくる。副次的に身につく知恵が山ほどあるはずです。

環境や才能の差はどうしたって存在するので、4年間でトップレベルに達するのは難しいかもしれません。けれどセミプロぐらいには誰でもなれる。普通の人より明らかに詳しく、明らかに上手いレベルになら手が届く。

得意な分野がひとつでもあると、まったく別のフィールドで壁にぶつかったときに踏みとどまれます。(自分にはこれがある)と思えることが、ピンチのときに自分を支えてくれるからです。私も博士課程で病みかけたとき、学部時代からやり続けている陸上競技に心を救われました。

4年間コンスタントにやり続けること自体が、継続力を鍛えるトレーニングになる。継続しなければ上達は見えてこない。でも逆に、続けてさえいれば経験値が蓄積して、いつか必ずレベルアップの瞬間が訪れます。

継続力は、人生で何かを成し遂げるための基礎体力みたいなもので、会社で仕事をするときにも、大学院で研究に取り組むときにも、新しい趣味の上達を目指すときにも威力を発揮してくれます。大学生の間に手に入れた継続力は、場所を問わず一生涯通用する武器。皆さんも、何か熱中できるものを見つけ、4年間続けてみてください。

親と和解し、自分の内面を掘り下げよ

五つ目。これが一番地味で、一番大事かもしれません。親と和解してください不仲な方は、大学在学中にせめて普通に会話ができるぐらいのところまで関係を持ち直しておくべきです。

特殊な事情のある方を除けば、大半の人は親に育てられてきたはずです。これまでの人生で最も長い時間を一緒に過ごした相手は、十中八九、お父さんかお母さんでしょう。

自分の考え方や好みの根っこを掘っていくと、ほぼ全てが親と過ごした時間に行き着く。望もうが望むまいが、自分は親から多大な影響を受けて形作られています。親との関係が不安定だと、自分のルーツそのものがぐらつきます。精神的な土台が揺れていると、何かに挑戦しようとしても思い切れないし、ふとした拍子にバランスを崩してしまう。

親と和解するのは、自分の足元を固めること。盤石な地盤の上に二本足で立ってこそ、社会に出ていける。世界に出ていける。

私自身、大学に入るまで父親と不仲でした。どうやったら関係を修復できるのか自分なりに考えた結果、父親もやっているランニングを共通の話題にする作戦に出たのです。時間はかかりましたが、大学卒業までには完全に和解できました。今では絵文字つきのLINEでやり取りする仲です。仲良くなりすぎて、2022年のJリーグカップ決勝ではアウェイまで一緒にサッカー観戦しに行き、応援していたチームが勝った瞬間に号泣しながら抱き合うところまでいきました。あの頃の自分が見たら腰を抜かすと思います。

親との関係を固めたら、次は自分自身の内面を掘り下げてみてください。自分は何が好きなのか。何を大切にして、どう生きたいのか。

自分のことは自分が思っている以上にわかっていないもので、言語化してみると(えっ、自分ってこんなこと考えていたのか)と驚くことがあります。

自己分析では、過去の出来事を一つずつ思い返して「なぜ、あのとき、あの選択をしたんだろう」と考えることになります。中には思い出したくない経験もあるかもしれません。でも、痛みをこらえて正面から向き合ってみてほしい。過去の苦しみに意味を見出せた瞬間、重荷がふっと軽くなる瞬間が訪れます。(あれは○○の大切さを知るための布石だったのか)と腑に落ちる日が来る。

しっかり前に進むためには、後ろのモヤモヤを片づけておかないといけない。ルーツ固めと過去への意味づけが済んで、ようやく大学生活を全力で楽しむ準備が整うのです。4年間を無駄にしたくない方は、できるだけ早く取りかかってみてください。

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