【小賢しく】研究室をドロップアウトせず生き抜くためのメンタル防衛戦術

北大と国研で研究している化学系大学院生かめ(D2)です。B4で研究室に配属されて以来、喀血をはじめ幾度もの精神崩壊の危機を乗り越え、どうにか研究室生活の最終年度を迎えました。

今まで何度、研究室をやめたいと思ったか分かりません。周囲に助けを求めても声は届かず、さらなる頑張りを求められ、本当に潰れかけました。二度も喀血したんですよ。

この記事は、博士号の学位記を手にするまでの日数を毎日カウントダウンしている私が、実体験をもとに編み出したメンタル防衛戦術をまとめたものです。研究室で心がすり減っている方、ドロップアウトの二文字がちらつき始めた方に、一つでも使える戦術があれば。

目次

仕事が早く終わっても、納期まで成果物を温存せよ

アカデミアの世界では、一つ仕事を片付けた瞬間に新しい仕事が積まれます。仕事の報酬はさらなる仕事。 学費を払いながら仕事の無限ループに巻き込まれるのが研究室の日常です。

真面目な人ほど仕事を早く片付けてしまいます。すると、指導教員から最高のスマイルで次の仕事が降ってくる。目の前の仕事を片付ければ今度こそ休めるだろうと一縷の望みに賭けると、また次が来る。自分が潰れるか、研究室を去るまで、仕事量は延々と増え続けるのです。ラットレース。

岩手名物のわんこそばをイメージしてください。手元のお椀が空になった瞬間、給仕の方がそばをお椀に滑り込ませてくる。わんこそばなら、お椀にふたを閉めればチャレンジは終わるでしょう。研究室の場合、ふたを閉めても無理やりこじ開けられます。すばらしい管理体制です。わんこそば方式のシステムに真面目に付き合っていたら、そりゃ誰でも不調に陥りますよ。

防衛戦術は単純で、仕事が早く終わっても締め切りギリギリまで成果物を温存することです。誰にも見せず、静かに懐で温めておきましょう。見せた瞬間に仕事が追加され、せっかく確保した休息の時間が消し飛びます。指導教員はもちろん、同期や先輩の前でも温存を徹底してください。同部屋の学生に暇そうな姿を察知されると教員に筒抜けになる可能性があるので、常に忙しそうに振る舞っておく方が安全です。

頑張るより巡航。マイペースを貫こう

研究室生活は長距離走ですから、スタートダッシュやペースアップは息切れの原因にしかなりません。疲れてペースを落とせば、ドロップアウトへの急降下が待っています。前章で述べた通り、研究室では頑張れば頑張るほど仕事が積まれますから、膨れ上がった仕事量を処理するためにペースを上げなければならず、悪循環から抜け出せなくなるのです。

私はかつて、猪突猛進でクソ真面目でした。馬鹿正直に仕事をこなし、指導教員におだてられるまま気持ちよくなってしまった。作業ペースは加速する一方で、与えられた仕事量は土日を返上しなければ片付かない水準にまで膨れ上がっています。

M2の8月、ストレスが体のキャパシティを超え、家のトイレで喀血してぶっ倒れました。血を吐いてようやく目が覚めたのです。健康を損ねてまで頑張るべき仕事なんてないし、後先考えずフルスロットルで突っ走れば壊れてしまうのだ、と。

皆さんは、持てる力の70%で巡航し続けましょう 余力を常に残しておけば、ダメージが蓄積して突然バタリと倒れる事態は避けられます。

悲しいかな、学生が倒れても教員は一切責任を取ってくれません。教員は、学生本人ではなく、学生の労働力を愛しています。いくらこき使われても、切り捨てられるときは一瞬。だからこそ自分の体は自分で守るしかなく、疲れたら迷わず休み、土日は自分の時間に充てるぐらいの割り切りが大事です。

自分が否定されているんじゃない。成果物が否定されているんだ

ゼミやミーティングで厳しく指摘されると、メンタルにグッときますよね。一生懸命つくった成果物に対してあれこれ言われているうちに、怒りの矛先が自分の人格に向けられている気がしてくる。一度メンタルを傷つけられると、相手の姿を目にするたびに傷が疼くようになります。研究室へ向かう足取りは重くなり、やがて大学から足が遠のいてしまう。悪循環。

メンタル防衛の鍵は、批判の対象を冷静に見極めること。成果物の出来に対する指摘なのか、発表の進め方への注文なのか、しっかり見定めてください。よほど常軌を逸した教員でなければ、人格にまで踏み込んでくることはまずありません。大半のまともな教員は、研究や発表のどこが足りないかを指摘しているに過ぎない。自分が否定されているんじゃなくて、成果物が否定されているんだ。

自分自身と成果物を切り離して捉えられれば、心はずいぶん軽くなります。成果物がボコボコにされても自分の体は無傷ですし、修正して出し直せばいい話です。

サボるが勝ち。疲れたら休もう

休むスキルは最強の武器。疲れたときにちゃんと休めるかどうかが、研究室生活の行く末を左右します。

かつての私は休むのが苦手でした。回復できる水準の負荷を軽く超え、倒れるまで頑張り続けていた。休むと不安になるのです。世界のライバルが走り続けている間に、自分は止まっている。置いていかれる恐怖に駆られて走り続け、血を吐くまで自分を追い込んだ私は、本当にバカでした。

サボるが勝ち。 長い研究室生活ですから、少し手を抜いても挽回する時間は十分にありますし、壊れるぐらいなら休む方がよほど賢いです。休めばまた動けるようになるけれど、壊れたらもう動けません

休み休みでも仕事を積み重ねていけば、やがて大きな成果として実を結ぶはずです。サボりすぎは禁物ですが、頑張りすぎを防ぐために適度に力を抜く、ぐらいの塩梅がちょうどいいのです。

最後に

メンタル防衛大臣による戦術解説は以上です。

私もまだ戦いの渦中にいますが、家のトイレで血を吐いた人間の言葉ですから、多少の説得力はあるんじゃないでしょうか。研究室で消耗している方が、明日も大学に行ける程度の余力を残せますように。

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