【トルコ・欧州旅行記】八か国目:日本(東京)

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ドーハで乗り換え

ドーハでのトランジットタイムは2時間。事前情報では”30分ほどで乗り換えられる”との話だったので乗り遅れはないだろうと思ったが、念には念を入れて次の東京行き飛行機の搭乗ゲートへ少々急ぎ足で向かった。

ターミナルは開放感ある未来的なデザイン。雰囲気がイスタンブール空港にどことなく似ている気が。空港内を電車が走っている。あまりにも沢山ある搭乗ゲートへ早く向かうための手段。私も電車に乗ってみた。車窓から私の搭乗ゲートが過ぎ去り、みるみるうちに遠くへ行ってしまうのを「あぁ~…」と嘆息しながら見送る。

気を取り直して正しい搭乗ゲートへ。ゲートではすでに飛行機への搭乗が始まっていた。06:45出発の飛行機への搭乗が05:45に始まるのか。早くない?どうしてそんなに早いのかね?

その謎は直ちに解消された。搭乗ゲートから飛行機までの間が相当離れているため、飛行機へはバスに乗っての移動になるらしい。グネグネと複雑な道のりを辿って飛行機の足元に着く。よくぞこんな難しい道を間違えずに一発で着けるよな。いや、もしかしたら運転手も道を間違えたのかもしれない笑。あまりにたくさん道を曲がりすぎて、乗客からしても正しい道なのか間違った道なのか正直分からなかったもの。

ドーハ→東京

飛行機に見とれて写真をパシャパシャと撮っていたら、『いい加減さっさと乗れよっ!!』と保安員さんに激怒された。「ごめんごめん!」と平謝りし、階段を昇って飛行機内へ。搭乗率は3割程度か。かなり空いていた。ガラガラと言っても良い。隣の席はもちろん空席だった。ようやく両手を肘置きに載せられる。体のバランスがどちらかに偏らずに済む^ ^

乗客全員にプレゼント。左から順に①アイマスク、②靴下、③歯磨きセット、そして④耳栓だ。フカフカの暖かい毛布まである。既にカタール航空がもう大好きになってしまっている私。おまけにCAさんは日本語だ。乗客も日本人が大半。”日本に帰るんだな”との実感がここでようやく沸き上がってきた。なんだかちょっと信じられない。本当に日本へ帰るのか?いや、本当に帰るんだよ。

ドーハ便と同様、東京便でもひたすらオセロをして時間を過ごした。後手だと勝てるが先手だと勝てない。先手と後手とでは駒を置く場所の選び方が違うのだろうか?9時間、色々と試行錯誤したが、100%勝てる必勝法は思いつかなかった。札幌に帰ったら本格的にやってみようかな。突き詰めれば突き詰めるほど面白い世界が広がっていそう。

オセロをしながら機内食を味わった。一度目の機内食はチキン風オムレツ。味はかない濃いめ。塩気が効き過ぎてちょっと辛いぐらいだった。飲み物には白ワインを注文。スペイン産の”何とか”という銘柄だった (カタカナ覚えるの苦手…)。あまりにもまろやかな味わいにグビグビと飲む手を止めようにも止められない。なんと、機内食へ手を付ける前に全て飲み干してしまった。デザートのスイカとチョコムースは共に絶品。濃すぎる食事が続いていたので爽やかなスイカが美味しく感じられた。

着陸二時間前に再び機内食が配膳された。今度はチキンカレーだ。ジャポニカ米を使用。当然美味いに決まっている。明日からはお米をお腹いっぱいまで食べられるんだ。パン食ばかりだった海外生活で生じた吹き出物が雲散霧消されるのを願う。

着陸1時間前

長崎の上空に入り、そろそろ日本へ着陸する頃になった。10月2日に始まった海外生活を回想した瞬間、不意に大粒の涙が溢れて前が見えなくなった。

大学3年生の頃から”将来の留学の為に”とお金を貯めてきた。やりたいことを多く我慢したのはもちろん、人付き合いの悪さのせいで友達がほとんど出来なかった。まとまった留学資金を得るため、研究室配属後は死に物狂いで研究に打ち込んだ。毎年700人しか採用されない日本学術振興会特別研究員DC1の内定を掴み、研究員として得られる給与と研究費を使えば留学に行ける目途を建てられた。留学に際し、訪問を希望するオックスフォード大学の研究室へ渡航の半年以上前にアプローチ。受入受諾後もオックスフォード大学の事務部との厄介な折衝が待っていた。

様々な難関を乗り越え、万感の思いで迎えた今回の留学。事前に聞いていた話と現実とのあまりの乖離に初日から絶望させられた。実験をやりに行ったにもかかわらず、実験を始められる環境が整っていない。実験装置が軒並み壊れていた。使い方を知っている人は数か月前に研究室を離れたらしい。ラボには博士学生とポスドクの2名しか在籍していなかった。研究室のホームページには10人以上の学生が写っているんだけれども。

3か月間粘ったが、結局実験を始められなかった。お粗末なラボへ在籍料として月14万円も支払うことに違和感を覚え、12月29日、オックスフォードを離れて欧州各国へ旅行に行った。留学先で何もインプットを得られずに帰るとは予想外。さすがに酷い。こんな思いをするために今まで頑張ってきたのか… 果たして努力って何なのだろう。何かを犠牲にしてまで何かを頑張る価値って本当にあるのかな。なりふりかまわず頑張った結果としてこのような残酷な結末が待っているのか。神様、あまりに酷くないですか。私が何をしたっていうんですか…

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