【博士就活】大学院博士一年次に受けた大企業メーカー最終面接のハイライト

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技術本部長から質問

技術本部長

かめさん、こんにちは。技術本部長の○○です。実は私、出身が北海道なんです。かめさんの大学から非常に近い高校に通っていました

かめ

左様ですか!まさか北海道から遠く離れた企業の面接で北海道出身の方にお会いするとは思いませんでした

技術本部長

ふふっ、そうですよね。だから何となく私、かめさんへ勝手に親近感を覚えているんです^ ^

かめ

恐れ入ります^ ^

技術本部長

緊張はほぐれたかな?

かめ

はい、おかげさまで楽に話せそうです

技術本部長

良かったです^ ^
それじゃあいくつか質問したいんですけれども、まずかめさんはご自身の研究で『蓄電池のエネルギー密度向上』を狙っているんですよね。具体的にどれぐらいの数値のエネルギーまで向上させようと思っていらっしゃいますか?

かめ

(うわぁぁぁぁ、考えたことなかったわ… 確かにそうよな。「電池のエネルギー密度を上げます!」と言っているのだから、”どれぐらいまで上げたいの?”って気になっちゃうよなぁ)

かめ

すみません。具体的な数値まで考えたことがありませんでした。Li析出形態の謎解明にばかり頭を使いすぎて、ついついそうした実用面での数値の検討が疎かになってしまっていました…

技術本部長

そうですか笑!まぁ、大学の基礎研究ってそんなもんですよ。私の好奇心で質問しただけなので、深く気にしなくて構いません。
それでですね、かめさんは履歴書の中で「ハイブリッドカー (HEV)用の電池を作りたい」とお書きになられていますね。実はHEV用の電池って、そこまでエネルギー密度を必要としていないんですよね

かめ

(えっ、そうなの…?!)

技術本部長

HEV用電池に必要なのは瞬間的な強い出力です。長く弱い出力を持続させなきゃいけないのはバッテリー電気自動車 (BEV)の方。その点、理解していましたか?

かめ

初耳でした。不勉強で申し訳ありません
(履歴書、もうちょっと工夫して作るべきやったなぁ。失敗したわぁ…)

技術本部長

いえいえ、良いんですよ。入社後に勉強していただければ結構です

かめ

(ん?もしかしていま、内定フラグ立った?!)

技術本部長

私が気になっているのは、どうして”HEV用の電池を作りたい”と具体的にお書きになったのかということです。こういう時って無難に”電気自動車用の電池を作りたい”って書きません?かめさんがいったいなぜ対象を『HEV』と限定して記したのか伺いたいです

かめ

(それも大して深く考えずに何となく書いて出しちゃったんだよなぁ… こういう時って本音を言うべき?それとも綺麗ごとを言うべき?どっちなんやろ…
えいっ、こうなったら本音で話してやる。後は野となれ山となれ、どうにでもなれ~!!!)

かめ

私が対象をHEVに絞ったのは、正直に申し上げると、電池だけで走るBEVが環境に良くない乗り物だと考えるからです

技術本部長

ほう!

かめ

BEVは確かに走行時に温室効果ガスを排出しません。しかし、BEVを走らせるための電力を生み出したりBEVに搭載する電池を作ったりする過程で温室効果ガスが排出されます。また、使用済みBEVの電池のリサイクルの問題もあるでしょう。自動車を電池だけで動かすには一台何百kgもの電池が必要になりますが、その電池が役目を終えた後の処理体制が整っているようには見えないのです。巨大な電池を逐次埋め立て処理する訳にもいきません。今後、リサイクル体制が整わないままBEVが流行ったらたくさんの電池が埋められていくのでしょうが、埋め立て処理地にて深刻な環境問題を引き起こしかねません

かめ

以上の事実を私の頭で総合的に判断すると、BEVがエコな乗り物だとは到底考えられませんでした環境を壊す車に載せる電池を作りたいとはどうしても思えなかったのです。HEVやHEV用電池ならば世界中で既にリサイクル体制が普及しています。真に環境へ優しい乗り物はHEVだと考えており、”HEV用の電池を作ることで地球と調和したモノ作りをしたい”と志しています

技術本部長

なるほど、
よ~~く分かりました^ ^!!

かめ

(ついつい勢い余って、思っていることを全部口に出してしまった…笑
まぁ、いいや。本音を吐いて落ちてしまったとしたら、”この企業とは縁がなかったのだ”とスパッと切り替えられるしOKでしょ。にしてもこの部長さん、めっちゃニコニコしていて嬉しそうやな。自分、何かエェこと言ったかな…?)

技術本部長

話を研究の方に戻しますね。コレは聞くことになっている質問なんですけれども、

かめ

(そんなこと言っていいの笑?)

技術本部長

かめさんが研究で直面した困難、およびそれを乗り越えた方法を教えて下さい

かめ

(困難かぁ。毎日が困難だらけよ。何を言ったらえぇんやろか。つくば出張?実験の難しさ?それとも…せや、いいこと思い付いた!!)

かめ

私が研究で直面した困難は、そもそも何をどう研究するかを定めること、つまり『課題設定』です。
修士の段階でLiがなぜ凸凹に析出するのかを解明しました。今後、どうすれば平滑な析出に近付くかが肝心なのですが、その道筋は完全に真っ暗闇。何をどうすればいいかすら分かりませんでした

かめ

そこで私は大学図書館へ行き、自分の研究と関連のありそうな分野の入門書を次々と開いて読んでみたのです。関係があると思ったらなく、今度こそは!と開いた本も突破口を見出す糸口になりませんでした。ある日、めげずに図書館で本を開いて読んでいると、専門分野(電気化学)とかけ離れた分野である『流体力学』との間に親和性をふと感じました。電池内でのLi⁺の拡散現象も平たく見れば流体の運動。電池内部の電解液を”流体”と見立てれば更なる詳細な分析が可能ではないかと思ったのです。

かめ

私の直観は正しかったようです。電気化学と流体力学とを掛け合わせて拡散現象を整理して考えてみると、不透明だった拡散現象が突如、大変クリアなものに見えてきました。専門分野の範疇を飛び出したことで課題の再設定に成功しました。現在は新たに設定した課題を解決すべく、流体力学の勉強をしながら実験を重ね、理論計算も行っている所です

技術本部長

専門分野に異分野を融合させたことで新たな課題を設定できたのですね

かめ

仰る通りです。あまりカッコよくない、泥臭い作業でしたが、諦めずに調べ続けた結果、困難を乗り越えられました

技術本部長

よく分かりました。
ちなみにかめさん。あっ、話が前後しちゃってごめんなさい。

かめ

構いませんよ

技術本部長

かめさんがやっているような研究って、ウチを含め、色々な企業が関心を持つんじゃないかと思うんですよ。これまでかめさんはどこか他の企業と共同研究をしてきましたか?

かめ

いえ、企業とは共同研究してきませんでした。ただその代わり、筑波の○○という国研と共同研究しております

技術本部長

あぁ、そうなんですか!
そこで一つ質問です。かめさんはどうやって○○さんとの共同研究を実現しましたか

かめ

「この謎を解明したいから装置を貸して下さりませんか?」と頼み込みました。ただ頼まれても国研側は迷惑するでしょうから頼み方を工夫しました。「こんな実験をやったらあんなことが分かって、そうしたら別のあんな発見があるんじゃないかなと思います。その成果を論文にまとめて出版すれば、国研としても”ウチの研究所からこんな成果が出た!”と対外的にアピールできるのではありませんか?」といった形です。

かめ

国研を自身の研究に巻き込んだ結果、これまで国研の装置を使って何報も論文を書けるだけのデータを集めさせて頂いています。博士修了までだけでなく、御社へ入社してからも国研の共同研究者さんとは良好な関係を維持するつもりです

技術本部長

ぜひ、維持して下さい。
私からは以上です。色々と教えて下さりありがとうございました^ ^

かめ

こちらこそありがとうございましたっ^ ^
(二つ目の壁も乗り越えたな。あと一つ、頑張ろう!)

人事の方

それでは最後に総務部長、よろしくお願いします

かめ

お願いします!

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