【博士課程】就活と企業選びの軸を何にしたか

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D2)です。D1の1月中旬より就活を始め、それからおよそ一か月で某大企業へ内定しました。

就活を行う皆さんはご自身の『軸』に基づき会社選びをなさるでしょう。なるべく多くの希望条件を満たした会社へ就職したいのが人情。しかし、この『軸』について言葉に表すのはなかなか難しい。漠然と(○○な企業がいいなぁ)ぐらいにしか思い描けないのが難しい所。

そこでこの記事では、皆さんの就活時に参考にしていただくため、私が企業選びの軸に据えた三つの要素について解説します。

  • 企業選びに何を重視すべきか迷っている方
  • いち個人の就活軸を覗き見してみたい方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧願います。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

【やり甲斐】地元の広島で働きたい。縁もゆかりもない街では働けない

会社選びについて考えたとき、いの一番に浮かび上がってきた軸は馴染みのある場所で働きたいというもの。大学進学時に地元を離れ、地元の良さを再認識した今、あの場所に帰って働く方が頑張れそうだと考えたのです。

私は広島で生まれ、一浪卒業まで19年間育ちました。私の体内を流れる血液の1/3ぐらいはお好みソースでできています。筋肉の半分ぐらいはお好み焼きで構成されているのではないかな。広島風なんて言ったら怒りますよ。世の中のお好み焼きは「お好み焼き」と「関・西・”風”お好み焼き」の二種類しかありませんから。髪の毛の色は牡蠣醤油海苔の黒。汗の酸っぱさは瀬戸内レモン由来。カープが好き。サンフレッチェも好き。要するに、骨の髄まで広島人なのです。札幌で7年間暮らすうちに少しずつ帰巣本能がうずき始めました。「オイ、そろそろ広島に戻れ!」と心の中で本能が叫び出しました。”広島に帰り、広島へ恩返しをしなさい”と。「札幌や筑波でフラフラしていないで、さっさと広島に帰り、腰を落ち着けて第二の人生を歩み始めなさい」と言っていました。

博士課程修了後の進路について思いを巡らせたとき、『どうせ時間を割いて働くのなら地元がいいよなぁ』と考えました。縁もゆかりもない地方で働くより、生まれ育った地元で働く方がやり甲斐を感じられそうに思えたのです。自分が会社で頑張って働けばその会社の業績が良くなるでしょう。会社の調子が良くなれば、その会社周辺の関連会社だって活況になります。そうしたら周りの人みんなが元気になれる。ただでさえ少子高齢化で先行きの暗い日本社会において、せめて自分の周りだけは元気にニコニコとさせられるような働き方がしたかったのです。もしも仕事で人を喜ばせるのなら自分の生まれ育った場所に住む人を喜ばせたかった。就職を機に住み始めた馴染みのない街へ何か思い入れを抱けるか?…いや、無理でしょう。

勤務地の第一希望は広島県。たとえそれが叶わずとも、瀬戸内海に面した岡山や山口、愛媛に香川あたりで働けたら本望だなぁ、、と。瀬戸内海沿岸とそれ以外の場所って、何というか、空気が全然違うんですよ。広島には、息を吸った時に胸の中へ広がるほんのりとした温かみがあります。東京の空気はキンキンに冷たい。筑波の空気はピリッとして痛い。名古屋はドヨンと澱んで吸うのが躊躇われる。大阪は空気が熱すぎて、吸うとボーっとして眠たくなってしまう。我らが札幌は広島と空気感が似ています。札幌だったら就職後も引き続き住めそうな感じがしなくはないけれども、あの極寒&大雪を今後も味わうのは本当に嫌なのでやっぱり広島がいいです。

【専門性】電池研究の知見を活かしたい。何かしらの形で蓄電池と関わり続けたい

B4からD1まで四年間、研究室と国研にて電池材料研究をしてきました。専門家の領域にはまだ全然達していないのだけれども、北大の中を歩いている猫やキタキツネよりかは電池に幾らか詳しくなったでしょう。せっかく四年間も従事してきたこの分野に対し、博士課程修了を機にお別れを告げるのはどうも寂しく思われたのです。ある所の思い入れが生じたのでしょうか、「もうちょっと電池分野にしがみついていられたらなぁ…」と願いました。これまで大学で行ってきたのは、2040年以降の実現が予想されている革新型蓄電池に関する基礎研究。まだ見ぬ電池の実現に向けてコツコツと土台を積み重ねていく作業。研究をしていて思ってしまいました。”電池で何かが動いている所を見たいなぁ…”と。自分の作った電池を載せて動く機械を間近で見たくてたまらなくなってきたのです。

どうせ企業へ就職するなら電池関連事業をしている企業へ行きたい。企業就職後、電池事業に携わり、これまでの電池研究の知見を活かして働きたい。一人の専門家として企業の開発方針へ責任を持って提言します。製造を加速させたり方針を微修正させたりして何がしかの影響力を発揮する働き方がしたかったのです。研究ができなくてもOK。開発一辺倒でも構わない。いや、この短気な性格を鑑みると、時間的スケールの長い研究よりも数か月単位で次々と新しいものを作る開発業務の方が合っているかも。業務との性格との適性は実際にやってみるまで分からないのだけれども、電池関連の事業に携われたら良いので、それが叶えば何も文句を言うつもりはありません。

最初は自身の専門性に捉われず、広い視野でもって様々な業界を見てみようと試みました。博士課程で培われた思考力や資料作成力、文筆力などを役立たせられる分野は他にもあるはずですから。他のメーカーを始め、商社やコンサル、さらには出版業まで考えました。でも、やっぱり最後は電池製造に戻ってきてしまいます。自分が電池以外を作ったり電池以外に頭をひねったりしている様子を思い浮かべられませんでした。電池への思い入れには相当強いものがあったようです。

【やり甲斐】市民の使う商品を作りたい。開発に携わった商品が愛用されている姿を見たい

企業の業務形態は大別して以下の二種類になります⇩

  • B to B型:企業同士の取引を指す形態
  • B to C型:企業が一般消費者へ物やサービスを提供する形態

自分の属する材料化学系企業で喩えてみると、B to Bは素材系(日本製鉄や三井金属など) や化学系 (三菱ケミカルや旭化成など)、B to Cは自動車系 (トヨタやホンダなど)や電気系 (パナソニックや富士通など)が挙げられます。他にも政府を相手にするB to Gがあります。政府から委託された公共事業を扱う大手ゼネコンはその典型例。

B to Bの企業へ行くメリットは経営が安定していること。業績が景気に左右されにくく、毎年コンスタントな売り上げを期待できます。一方でデメリットは、自分が業務に携わった製品が街中で表立って使われるのを見られない点。線路には鉄が、建物にはセメントやコンクリートが使われてはいるものの、そうした素材を見て「自社の製品だ!!」とテンションを上げられる人は少ないと思います。B to CのメリットとデメリットはB to B企業の裏返し、開発に携わった製品が市民に愛用されているのを見られる反面、業績が景気に左右されやすく、収入の増減にも影響を及ぼしかねません。

B to BとB to C。どちらにしようか迷ったとき、自身にとってやり甲斐を感じられるのはB to Cの方だと感じました。自分の勤める会社の製品が人に使われていたら嬉しくなるはずだと思ったからです。社会へ縁の下の力持ちとして貢献するよりも、社会で暮らす人々に寄り添い、伴侶として役立つ製品を作りたくなりました。D1の10~12月、イギリスへ留学に行ったときのこと。街中ですれ違った車の3~4割が日本車でした。大半はトヨタ。ホンダやスズキもチラホラ見受けられました。もしも私がトヨタ社員なら、日本から一万km近く離れた街でこれだけたくさん自社の製品を見かけたら嬉しくなってしまうでしょう。「ありがとう!買ってくれて本当にありがとう!」と一人ずつドライバーに握手して回りたくなるほど嬉しくなるはず。留学中に決めてしまいました。「就職するならB to C企業だな」と。時代の流れに応じて給料が目まぐるしく変わるリスキーな業種ではあるものの、自身が開発に携わった製品が愛用されているのを見たいという気持ちは変わりませんでした。

正直、お金はどうでもいい

就職の軸として皆さんの多くは『お金』についても考えるのではないでしょうか?私はと言うと、正直、お金はどうでも良かったです。仮にキーエンスの社員の如く、年間二千万円近く貰えたとします。しかし、使う時間や使用用途を考える時間もないほど忙しければ、貰っても意味がないのではないかと考えてしまうのです。そりゃもちろん、くれるなら喜んで受け取りますよ。お金より【やり甲斐】や【地元のため】に働きたい私にとって、お金は他の要素ほど重要なファクターではないというだけです。

現在、学振特別研究員として月20万円の収入を得ています。贅沢さえしなければ月20万円でも十分やっていくことが可能。私自身、あまりお金を使いません。美味しい食べ物を食べたいとも思わない。欲しいものが書籍しかありません。いくら大量に本を買っても書籍代は2万円/月に届くかどうかといった所。月20万円の収入なのに月に4~5万円もの貯金ができるのです。企業に入社後も生活レベルを上げなければすぐに一千万円、二千万円と資産が膨れ上がってきそうな感じ。年収アップのために激務に耐えるといったスタイルは私には合いません。お金の奴隷にならず、地元や己の理念を叶えるために働きたかったのです

最後に

私が博士就活の際、企業選びの軸とした三つの要素はコレで以上になります。皆さんの就活軸は何ですか?就活前にじっくりと考え、自分にピッタリな企業を見つけて下さい。

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