北大と国研で研究している化学系大学院生かめ (D2)です。高三の3月に大学へ不合格になった際、自宅浪人(宅浪)しようとするのを父親に止められ、河合塾に通った経験があります。
この記事では、父が私の宅浪を阻止するために語ってくれた内容を記します。父は二年もの宅浪の末に国立大へ受かりました。予備校へ通わせてもらっていれば1年で合格できたみたい。私に同じような苦労を味わって欲しくなくて語ってくれた話になります。
本記事は
- 自宅浪人しようか/予備校に行こうか迷っている方
- 浪人は自宅で行う!と既に決めているが、少しでも宅浪を成功させるヒントを得たい方
こうした方々にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
それでは早速始めましょう!
勉強強制力が働かず、やがて勉強しなくなってしまうから
自宅で浪人を行う場合、高校時代のように誰かから強制的に勉強をさせられません。「勉強しなきゃダメだよ」と口酸っぱく言ってくれる存在はもう近くに居ないのです。ベッドの上で一日中ゴロゴロと寝転がって過ごす自堕落な過ごし方さえ可能。ひとたび自室の扉を閉めてしまえば、自分が勉強しているかしていないかなんて自分以外誰にも分からないのですから。親から『ちゃんと勉強しているの?』と聞かれても、「うん、しているよ!」と口先だけで十分誤魔化せてしまいます。親とて子供を信じるしかありません。一年、また一年…と浪人年数を重ねて行き、やがて子供部屋おじさん・おばさんがこの世に爆誕するでしょう。
宅浪の大きな問題点は、外部から受験生に対する勉強強制力が微塵も働かない所。誰かから何かを強いられないと何もやらない人間は極限まで堕落してしまいかねません。学校ならば宿題や期末試験、予備校なら講義や模試といった形で学生を勉強へと駆り立てる何かがあります。いくら怠けがちな学生でもテスト前日ぐらいはちゃんと勉強するでしょう。宅浪生にそうした強制力は一切働きません。模試だってわざわざ自分で申し込まなきゃ受けられないし、「受けなくてもいいよな… だったら今回はパスしよう♪」と申し込みさえ面倒になることも。
人間、余程注意していないと安きに流れてしまう傾向が。周囲からよく「ストイックだね」と言われる私だって事情は変わりません。自らを律して気高い規範を維持するのにも”限度”というものがあるのです。勉強を1~2週間続けるのは簡単。ですが受験は長期戦。一年単位で実力をコツコツと積み上げねばなりません。宅浪すれば遅かれ早かれ、不合格直後に自らに誓った「ちゃんと勉強する!」という規範が崩壊してしまいます。であれば最初から勉強強制力の働く予備校に通い、勉強を続けられる体制を築いて受験を迎えた方が得策だよね、っていう話。
自分で自分を律しきれる自信のある方は宅浪を選んでも大丈夫。怠け癖のある方や自分を律しきれる自信のない方は予備校へ通ってください。
話し相手がおらず、気分が滅入ってしまうから
宅浪は高校や予備校と違い、周囲に受験仲間が居りません。何かくだらない話をして憂さ晴らしできる友達がいないのです。いかんせん授業も何もないから大人数で集まる機会がない。同世代の学生に囲まれる機会は模試や試験本番ぐらいです。宅浪は孤独との闘いになります。ひたひたと迫りくる受験のプレッシャーに打ち克つだけでなく、人との会話不足に起因する精神の狂いとも闘わねばなりません。他の人より敵が一つ多いわけです。高校生や予備校通いの受験生は学力向上だけを考えればいいけれども、宅浪生はそれに加え、孤独にも勝って試験本番まで頭を正常状態に維持しておく大変さがあるということ。
私は大学院博士課程一年次、イギリスのオックスフォード大学へ研究留学に行ってきました。滞在予定の研究室に足を運ぶと、そこには人間が誰一人いませんでした。ほとんど誰ともコミュニケーションを取れない状態で3か月半研究を行ったのです。そこで味わった孤独感は絶大。もう二度と味わいたくないぐらいに辛かったです。宅浪で受験合格を目論むとなれば、私のような孤独状態に一年間耐え抜かねばなりません。もちろん勉強だって余念なく行わねばならない。いくら何でもキツ過ぎるのではありませんか?早晩、気分が滅入ってしまって受験どころではなくなると思います。
家族以外話し相手がおらず、受験の悩みを理解してくれる人に打ち明けられないのは精神衛生に極めて悪いです。親が学校の先生や塾講師の方以外は宅浪を避けた方が無難なのではないでしょうか。
間違った方向に進んでいても方向を正してくれる人が誰もいないから
宅浪では受験勉強の方針をほとんど一人で決定することに。受験校の選定は受験料の兼ね合いもあって親とも相談して決めることになるでしょうが、何をどう勉強するか、その裁量は受験生に委ねられています。
正しい方針と勉強法で勉強できていれば何ら問題ありません。成績が順調に伸び、模試でA判定を取り続け、志望校の合格を楽々掴めるでしょう。厄介なのは方針を間違えたとき。誤った方法で勉強した所で成績はほとんど上がりません。夏前までは現役時代の貯金で良い判定を獲得できるかも。現役生が力を付けるにつれ成績は下落。判定も落ちていきます。宅浪生が勉強方法を誤ったとき、「お前、何か間違えているんじゃない?」と指摘してくれる人間がいないのが問題。たとえ誤りに気付いたとて、何をどう正せば成績を伸ばせるかなんて誰も教えてくれません。自らの選んだ勉強方針を適宜チェックし、その都度微修正する器用さが求められます。まぁ、そんな離れ業のできる器用な人間の大半はそもそも浪人なんてせず、現役で要領よく受かってしまうんですよ…
自らの受験勉強をコーチングしてくれる存在を見つけられるならば宅浪しても大丈夫。何もかも一人で勉強しなければならないなら宅浪はあまりオススメできません
最後に
自宅浪人を避けるべき3つの理由についてはコレで以上。自分の性格が宅浪向きか/そうでないかをよく考えた上で予備校へかようかどうかご判断下さい。
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