国研の定年制公募が締め切り。これでいいんだよ、ね
つくば出張中に入り浸っている国研の定年制公募最終日。申請書はダウンロードした。でも、全く書いていない。書こうとは思った。書き始めた直後に企業から内定を受け取り、途端に書く気が失せて執筆を途中で放り投げてしまった。国研の申請書は学振DCのものより沢山の文章を書く必要が。”絶対に国研で働きたい!”との強い想いが無ければ仕上げられないボリューム。国研に採用されればラッキーぐらいの気持ちでは全ページを文章で埋め尽くせない。否、たとえ1ページだって書き上げられないかもしれない。
博士進学当初、国研の定年職への就職だけを目標に掲げていた。研究に年中専念できるだなんて天国じゃないかと考えていた。しかし博士課程在籍中、考えが180度変わった。絶え間ない自己対話やイギリス留学を通じ、『自分は研究者に向いていない』との結論を下す。留学終了直前、民間企業への就職に舵を切った。就活期間一か月で内定。以来、国研への憧憬の念が頭からスッカリ消え去っていた。
申請書提出締め切り日、国研のホームページにアクセス。申請書の提出フォームを開いて画面をジーっと静かに見つめる。応募するなら今日が最後。今日を逃せばもう国研には勤められない。いいんだよな。本当にいいんだよ、な?企業への内定辞退の連絡はまだ間に合うぞ。そこまでして国研に行きたいか?いや。別に国研に行きたくはない。研究に対する想いはもうほとんど無いんだもの。今は一刻も早く研究から解き放たれ、企業で開発業務に奉職するのが第一の願いになっている…
国研には応募しなかった。これでいい。自分には縁のない道だったんだ。
精神錯乱
国研で大量のタスクを抱え込んだ結果、一時的に精神が錯乱してしまった。大きな仕事を3つも抱え込んだせいだ。①A報用データ収集、②A報執筆、そして③B報用データの収集。どれ一つとっても疎かにはできない。疎かにしたが最後、博士課程を早期修了できなくなる。辛くて嫌で仕方がない研究室生活を終えるために果てしない苦行を乗り越える必要が。あぁ、辛い。何もかも放り出して辞めて自由になれたらどれだけ幸せだろうか。来月からは国研に後輩が来る。後輩のお世話もやらなきゃいけない。仕事が新たにもう一つ増えることに。勘弁してくれよ… 人間が一度に抱え込める仕事の容量を軽く上回っているように思えるのは気のせいだろうか。
大阪へサッカーアウェイ遠征
国研での実験は何もかも失敗続き。一年以上ものブランクの影響か、M2までに蓄積してきた実験技術を体が忘れている。壊れた研究プランも新案が閃かない。有り余った心のエネルギーをぶつけようにも、ぶつける先や方向性が見えずに困る。焦りとイライラだけが募っていく。時間がない。でも何をしたらいいのか分からない。
とうとう我慢の限界を迎えた。つくばから大阪まで日帰り弾丸サッカー観戦へ。こういう時は大声を出すのが一番。そうは言うものの、国研や公園内で大きな声を出したら周りを驚かせてしまう。大声を出すのが是とされている場所に行くのが善。となるとスポーツ観戦一択。カラオケは好かん。屋内で大声を出したとしても爽快感を得られないから。それに私、音痴なんだ。ヘタクソな自分の歌を聴いているうちにイライラしてストレス発散どころじゃなくなる。


つくば駅からバスで東京駅へ。日曜朝の常磐道はガラガラ。スイスイ進んで東京都内に。東京スカイツリーがお目見え。高さは634m。あれほど巨大な構造物を作られる人間ってやはり偉大だな。


スマートEXで事前予約していた新幹線のチケットを発行。八重洲南口からホームへ。新幹線に乗るのなんて久々。修士の時以来かな。北海道に居ると新幹線に乗る機会が無い。あと5年ほど経てば札幌にも新幹線が通るらしいが、その頃には自分はもう札幌にはいないから開通を見届けられなくて残念。


たった一つのホームだけから新幹線が20分間隔で出ている。東京駅にはそんなホームが何十個も存在するからすごい。東京からなら日本の何処へでも行ける。西は博多。北は函館。敦賀にも新潟にも、秋田や山形へも新幹線一本で。便利な所だなぁ、東京。せめて利便性の1/10だけでも札幌に分けてあげて欲しい。来年からは広島生活。東海道・山陽新幹線の恩恵を被れるのが待ち遠しい…


熱海の辺りでチケットを撮影。温泉街と日光の調和がフォトジェニックな雰囲気を作り出した。旅してるなぁ…って感じの写真。国研での過酷な日々を忘れさせる、あまりにのどかな一枚に目尻を下げる。そういえば今年から新幹線の発車メロディーが変わったみたい。『AMBITIOUS JAPAN』から『会いに行こう』へと変更。個人的には昔の方が好き。『会いに行こう』は曲単体は好きなんだけれども、発車メロディーとして断片的に切り抜いたら魅力が半減してしまって残念。


京大に落ちて北大へ進学して以来、歴史書や旅行ガイドブックで”京都”を見るのが嫌に。この二文字を見聞きした瞬間、京大に落ちた瞬間の悔しさや悲壮感がまざまざと思い起こされて辛くなる。ただ、東海道新幹線はどうしても京都に停車する。静岡飛ばしの如く、京都飛ばしの列車設定は設けられていない。覚悟を固めていざ、関西圏へ。今回は”京都”を見ても何も思わなかった。 (あぁ、京都か) ぐらいの感想。大学受験で負った傷がようやく治ったのかもしれない。留学で世界ランク一位のオックスフォード大へ行けたのも手伝ったかな。あるいは、今の日常が辛すぎて”京都”に反応する余裕がないだけなのかも。一体どれなんだろう。全ては大学院を修了したあと判明するはず。

筑波のウィークリーマンション近郊には散髪屋さんがない。つくば駅の駅ビルにはあるのだけれども、2024年5月未になってもまだ”入店時にはマスクを着けてください”と時代錯誤の張り紙をしてあって気味が悪い。せっかく大阪へ行ったんだ、散髪して頭をスッキリさせておこう。大阪で行っておかなければ筑波でいつ髪を切りに行けるか分からないから。新大阪駅内のQBハウスへ。たった10分で髪を整えていただいた。昔は1,000円でカットしてくれたQBハウスも、今では1,300円でのカットとなっている。物価高、土地高、人件費高騰など色々な原因があるのだろう。


大阪市営地下鉄の一日乗車券を購入。サッカースタジアムまでの最寄り駅を行き来するには、単に往復チケットを買うより一日乗車券を買った方が安上がり。御堂筋線で長居駅へ。15駅ぐらい乗ったのかな。結構遠かった。立ちっぱなしでなおさら遠く感じたのかも。車内ではユニフォーム姿の観戦客をチラホラ見かけた。自分は長居で降りてから着た。もしも筑波からユニフォームを着て行っていたら、鹿島アントラーズサポの人にぶっ飛ばされてしまうかもしれないから。


13時ごろ、ヨドコウ桜スタジアムに到着。雲一つない晴天。日焼け間違いなし。ホーム側の席には屋根が付いている。我らがアウェイ側だけ屋根がついていない。いじめだろ笑。どうなってんだ。雨が降ったら滝行じゃないか。そう考えると、我らが広島のホームスタジアム『エディオンピースウイング広島』は最高。なんせ、全席屋根付きなんだから。アウェイ側の人間にも優しい設計。大阪の方は非人情。少しは広島の任侠おもてなし精神を見習って欲しい。
応援席で父親と合流。今年59歳になる父親もまだまだ元気らしくて安心した。『ちゃんと博士号を取れるんやろうな?』との質問。知らんがな。それは私の指導教員に聞いてくれ …ていうか、現実逃避しにわざわざ大阪まで行ったのに、辛い現実へ無理やり引き戻さないでくれるかな(泣)。研究のことよりサッカーのことを考えている方が楽しいんだよ。

試合は前半、0-0の引き分け。後半早々、セットプレーで広島が先制。追加点を取って勝ち切るかに思われた試合も、大阪側に一点決められ同点に追い付かれてしまった。最後まで追加点を取れずタイムアップ。1-1の引き分けで終了。
今年の広島は引き分けが多い。あと一点が遠く、勝ち切れない。こういう時は広島カープが強い。カープの調子がいい時に限ってサンフレの調子が悪い。カープとサンフレは両者トレードオフの関係。歴史上、どちらも強い時期は一度もない。一方が強いシーズンはもう片方の調子がめちゃくちゃ悪い。そうなるようトップ同士で談合して取り決めているのではないかと勘繰っちゃうぐらいいつも同じ。


勝っていたのを追いつかれた試合ほど辛いモノはない。これだけ気落ちしたなか、筑波へ4時間半かけて帰らねばならないのか。まぁ、いいや。90分間大声を出し続けてストレスを存分に発散できたし。スッキリした^ ^ 明日から心機一転、頑張っていけそう。サッカー観戦している間に研究のアイディアが降ってきた。コレはイケるかも。残りの国研滞在期間はこのプランへ捧げて人生の命運を委ねるとしよう…
新幹線内では疲れで爆睡。起きたら静岡。東京まであと1時間程度。新大阪で買った駅弁をつまむ。チキン南蛮弁当だ。駅弁屋さんがあまりに盛況すぎてチキン南蛮ぐらいしか売れ残っていなかった。キンキンに冷えたチキン南蛮は正直、あまり美味しくなかった。肉が固い。ご飯はパサパサ。せめて常温保存しておいて貰いたかった所だけれども、それだと鶏肉が腐るからダメなのか。


帰りも高速バスに乗車。21:30にもかかわらず、筑波行きのバスは満員でぎゅうぎゅう詰め。関東の人口って本当に多いんだな。こんな所で暮らすのは息苦しくて仕方がない。自分には地方都市が合っている。ほど良く都会。ほど良く混雑。緑と川がすぐ隣にある広島や札幌が大好きだ。
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