【博士進学】キャリアスタートの遅れは心配無用!博士課程では実務経験が手に入る

北大博士課程を早期修了した化学系大学院生かめ(D2)です。来年度から地元の民間企業で技術開発職に従事します。

博士課程の標準年限は三年間。うまく行けば三年間で出られます。成果創出が遅れれば四年目や五年目に突入するでしょう。修士就職を選んだ方とは少なくとも三年もの企業歴差がつくわけです。キャリアのスタートが遅れるのを懸念して博士進学へ二の足を踏んでいらっしゃる方がおられるかもしれません。

私は一年間受験浪人したすえに北大へ入りました。博士進学時には25歳。博士修了後には28歳になっているはずでした。大学受験に現役合格して学部卒業後に働いている人とは6年もの差が。修士修了後に働く高校の同級生との差は4年。四年ってなかなか大きいですよ。オリンピック実務経験を積んで転職できるだけの期間を仕事に費やしているわけです。それに対して私は未だに学生。焦りますよ。(本当に進学してもいいのかな…)と疑念に駆られたわけです。

この記事では、博士課程へ行くとキャリアのスタートが遅れることを心配している人へ知っておいてもらいたい話を綴りました。博士進学の検討を加速している方や博士課程在籍中の方にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。

それでは早速始めましょう!

博士課程も実務経験に入る

皆さん、何か誤解しているかもしれません。博士学生は「学生」である、と。実際のところ、学生ではありません。学生ではあるけれども学生ではない。小泉進次郎さんみたいなことを申し上げてごめんなさい。意味が分かりませんよね。今から説明します。

博士学生は学生です。学費を払って大学に通います。研究室では指導教員から研究の手ほどきを受けるでしょう。指導形式は放任型、管理型、そのハイブリッド型など十人十色。いずれにせよ、博士学生は何らかの形で先生から指導してもらいます。博士課程在籍中は複数回の学位審査会が待っているでしょう。これらを全て突破してようやく博士号を手に入れられる。

博士学生は学生ではありません。国や大学からお金を貰って働きます。プロの研究者と同じく科研費を使って研究していくのです。研究成果を公にすべく、世界各地へ赴いて学会発表するでしょう。博士論文提出要件充足に向けて学術論文を書いて出版するのも仕事。中には地域の学校へ出向いて講演会をしている博士学生も。研究者の卵を養成するアウトリーチ活動をしているのです。

博士学生は学生であって学生ではない。この意味をご理解いただけたでしょうか。さて、本題に戻りましょう。

博士学生は学生であって、学生ではありません。博士課程在籍中の研究活動は【実務】としてみなされます。博士課程へ三年間在籍していた方には三年分の、籍を四年間置いていた方には四年分の実務期間が付与されるのです。つまり、会社へ入る頃には複数年もの実務経験を携えて就職することに。新卒扱いではなく中途扱い。仮に新卒枠で採用されても、給与面でも待遇面でも中途採用扱いになるでしょう。

実際、私が入社した会社での扱いは中途採用相当でした。採用方法はジョブ型のマッチング採用。給与も修士と比べれば高め。企業の人いわく”即戦力扱い”みたい。博士課程での研究活動を【実務】とみなしてくれている証ですね。

「博士課程へ行くとキャリアスタートが遅れる…」と懸念している方へ。博士進学は、キャリアが遅れるどころか、キャリアが始まる瞬間なんですよ。博士修了者が会社へ行けば『四年目社員』として見なされることを覚えておいてください

遅れが気になる?だったら早期修了すればいいじゃない

キャリアスタートの遅れを意識する方は、ひょっとしたら別角度からの懸念を抱いているのかもしれません。

四年目として見なされるのは分かった。でも、博士課程へ行けば社会へ出るのは確実に遅れるでしょう?順調にいけば27歳で就職する。24歳で会社に入る人とは社会人経験で三年差がつく。三年もあればライフイベントをいくつか消化できるよね。恋愛、結婚、マイカー購入、あるいは出産までする人も現れる。博士課程へ行けば確実に研究で忙しくなる。ライフイベントを消化できぬまま歳を重ねるのは厳しいよ…と。

皆さんのお気持ちはよく理解できます。世の中には「大学の中で得られるもの」と「大学の外でしか得られないもの」があるでしょう。博士課程へ行けば得られるのは前者。前者の獲得を代償に、二十代中盤は後者の獲得を諦めねばならなくなる。人生は一回性。ひとたび時間が経ってしまえば元の地点にまで戻れない。一度きりの人生をどう使うか。非常に難しい問題だと思います。

社会進出の遅れが気になる皆さんへ抜本的な解決策をご提案します。どうしても遅れが気になるなら『早く』出ればいいじゃないですか。早期修了しちゃいましょうよ。飛び級です、飛び級。博士課程を一年短縮して二年で修了すれば遅れの問題は解決します。

早期修了には業績量が必要です。通常の博士論文提出要件の二倍近い論文数が必要になります。普通の人よりも短い期間でより多くの業績が求められる。ちょっとやそっとの急ぎ足では間に合わないでしょう。一時期、人間をやめ、狂人的な速さで研究を進めていかねばなりません。私は早期修了達成者。一年の飛び級を成功させるために、博士課程二年間は全速力で走り続けました。

博士課程早期修了は現実的に目指せる目標です。圧倒的な努力と研究テーマの成果創出運を兼ね備えていれば手が届くでしょう。
頑張れば必ず飛び級できるとは限りません。本気で走って息切れした挙句、メンタルが復調せず中退する可能性があります。人生を一年分早送りするって、それぐらい大変なことなんですよ。何らかのリスクを背負ってのチャレンジになる点をご留意ください。早期修了成功の暁には、一年早い社会人生活スタートが待っています。皆さんの実現したい理想を思い描いて日々頑張っていきましょう。

最後に

博士課程へ行くとキャリアスタートが遅れるのを懸念している人へメッセージを送りました。

結論、博士進学してもキャリアの遅れにはつながりません。博士課程は実務期間。博士進学はキャリアの開始を表します。それでも進学による遅れが気になる人!私のように早期修了してください。飛び級すれば一年早く社会へ出られます。二十代中盤での諦めかけていたライフイベントの二十代中盤での消化も視野に入ってくるでしょう。

最後に。博士進学をネガティヴに捉えないでいただきたいです。博士進学が皆さんの人生を充実させる選択肢の一つになることを強く祈って締めくくります。

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