こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料を頂いています。今年3月に申請したJSPSの『若手研究者海外挑戦プログラム』の採択結果が昨日開示されました。結果は不採択C。箸にも棒にも掛からぬ圧倒的大差での不合格でした。
この記事では、若手研究者海外挑戦プログラムに不採択となった要因を考察してみました。次の公募こそ採択をもぎ取られるよう、自身の至らなかった所を細部に至るまで徹底分析するのが目的です。

それでは早速始めていきます
若手研究者海外挑戦プログラムに不採択となった敗因の分析
語学力が圧倒的に不足していたから。英検準一級&TOEIC785でOxford留学だなんて冷静に考えて有り得ないわ


申請書には【外国での研究遂行能力について】といった項目が設けられていました。海外へ研究に飛び立つ申請者が留学に耐えうる語学力を備えているかの確認のための項目。英検やTOEICなどで英語力を証明し、 (コイツなら留学させても大丈夫だな^ ^)と審査員を安心させねばならない。字数制限は400字。記した内容を以下に記します⇩
申請者は、実用英語技能検定準一級に合格(2018年3月)し、TOEIC L&Rテストでは785点(2021年4月)を獲得した。その後も本プログラムを活用したオックスフォード大学への留学を視野に入れ、今日に至るまで余念なく英語力を研鑽してきた。これまでに筆頭著者として、2報の国際誌への論文掲載実績や2回の国際学会発表歴がある。また、共同研究先の○○○○では、申請者の受入研究者である△△主任研究員の元で研究する外国人博士研究員と英語やスペイン語で議論を交わしている。日常的に学術英語を用いる機会があるため、英国の大学で研究するのに必要な語学力や意思疎通力を伸ばすことができている。このように、申請者は、留学生として海外で求められる外国での研究遂行能力を有している。本プログラムでの海外生活を語学力や研究力の更なる向上の機会と捉え、博士課程修了後に研究者として海外へ羽ばたくための土台作りの期間としたい。(400字)
最初に反省すべき点として、「オックスフォードへ留学する」と言っている割には語学力が圧倒的に不足していた点が挙げられます。オックスフォードへ正規留学するには本来IELTS overall 7.5 (TOEIC満点以上 or 英検一級以上相当)が求められるにもかかわらず、それらの足元にも及ばないスコアしか有していないのが仇となったか。非正規の留学なので資格試験のスコアは不要。裏口入学ならぬ”裏口留学”なので極論、TOEIC500点でも留学することは可能 (500点なら研究者と意思疎通できないと思いますが…)。だからといってあまりにお粗末なスコアなのも問題でしょう。日本政府の予算を使ってイギリスへ送り出すには不適格であるというわけです。せめてTOEICが900点以上あればこの項目の見栄えも良かったでしょう。面倒臭がらずTOEICをM2の間に何度か受けておけばよかったなぁ…



外国人との英語でのコミュニケーションは特に問題なくこなせます。ソレを証明する資格なり点数なりが無かった所が致命傷でした (証明できなきゃ”英語を話せる”とはみなしてもらえませんからね…)
留学先でやりたいことが定まっておらず、研究計画を具体的に記せなかったから。学振DC1の申請書を使い回したのも良くなかったか


本プログラムへ申請するにあたり、”留学先で何をやろうか”と頭をひねって考えてみました。これまで実験ばかり行ってきたので、実験的アプローチに加え『理論的アプローチ』をも学んでみたいなと思いました。研究者として自立するには少しでも手持ちの武器を多く有していた方が有利。新たな武器を手に入れるために海外留学が不可欠でした。
留学に対するモチベーションについてはかなり大きなものがあった。しかし、「じゃあ海外で何を研究したいの?」と己の胸に問いかけたとき、「○○を学びたいんだ!」と即答できるモノが無かった。そもそもこの留学の大目標は○○理論について勉強するといったものです。○○理論について書かれた本を何度読んでもイマイチ分からず、日本でもその理論に精通している研究者がいないからイギリスへ行かざるをえないというワケ。本当ならば申請書へは”○○理論を応用して△△に適用する”といった感じで具体的に書かねばならなかった。研究計画をそこまで具体的に書けず、漠然とした内容で終始したのが他の申請者と差がついたポイントではないでしょうか?そもそもこのプログラムの名は『若手”研究”者海外挑戦プログラム』。海外へ”研究”しに行く人を支援するためのものなのです。私のような”勉強”目的で行く人は本支援の適用対象外。「勉強するなら自分のお金で勝手に行ってきてください」ということでしょう。



研究計画に学振DC1の内容をまるっと転用したのもあまり宜しくなかったかな。「本プログラムは学振特別研究員としての研究の一環として…」という風に研究計画に記したのですが、どこかで本プログラムを蔑ろにしている感じが出て印象を下げてしまったのかも…
申請書提出までに受け入れ研究者の受け入れ許可が下りなかったから。まさか申請翌日に許可が下りるだなんて…


あまり影響は大きくないかもしれませんが、申請書の提出までに受入研究者の受け入れ許可が下りなかったのも減点対象だったのでしょう。そりゃそうです。留学できるか否かが未確定な人を支援するのは気が引けますから。オックスフォードの受け入れ研究者 (M先生)には仲介役の先生 (F先生)を通し、M2の12月から何度も何度も受け入れ許可をお願いしていました。しかし、F先生の送ったメールが全てM先生の迷惑メールフォルダに入っていたらしく、M先生がF先生のメールに気付いたのは年明け3月下旬のこと[関連記事]。M先生が(メール来てるじゃん!)と存在に気付いたその12時間後、オックスフォードから”私を受け入れる”との旨を記したメールが来ました。ソレが何とも折悪しく、申請書の提出期限の翌日だったワケであります。
申請書を提出するとき、受け入れてもらえるかどうかがまだ定まっていませんでした。だから「M先生に受け入れ許可をお願いし、前向きな返事を頂いている」といった曖昧な表現しかできなかった。もしもっと早く受け入れ許可が下りていれば”受け入れが確定している”と申請書に記せたはずなのです。たった一日の差でコンマ何点分か損したと思うとめっちゃ悔しくて地団太を踏む気持ち。あと一日、たった一日ぐらい何とかならなかったのですかね?まさか申請翌日に許可が下りるだなんて神様のいたずらとしか思えません。
各項目3点以上なのに総合評価2.5点?!学振DC1に当たっているから…?


本プログラムの評定結果は以下に示す通りです⇩
- 挑戦性・進展性 3.25/5
- 研究計画 3/5
- 研究者としての能力・将来性 3.75/5
- 総合評価 2.5/5
学振DCや本プログラムでは評点が正規分布に則るようにつけられています。したがって、5点満点で3点 (3/5)ならば、申請者の中でちょうど真ん中の評価をつけられたことになるのです。①~③は軒並み3以上。申請書の出来は申請者の中では比較的上位だったということに。本プログラムは申請者の約半数が例年採択されています。だから本来ならば採択されていても決しておかしくありません。では何が命運を分けたか?『④総合評価』です。5点満点でなんと2.5点しか貰えなかったのが手痛かった。①~③で3以上なのになぜ④が3以下なのか、チョット何を言っているか分かりません。総合評価って①~③の平均点みたいなものなんじゃないの…?採点ミスすら疑っちゃうほど低い評価には愕然としました。「学振DC1に当たっているなら本プログラムの支援はいらないでしょ?」という事なのでしょうか。だったら要項に”学振特別研究員も応募できます”だなんてわざわざ書かなけりゃいいでしょうに。それとも推薦書がダメだったのかな?いや、自分で用意したからアレがダメだなんてことはないはずだけれども…
もはや”本プログラムとは縁が無かった”と割り切って考えるしかありません。受け入れ許可のタイミングといい、申請書提出後のドタバタといい[関連記事]、学振DC1のときと比べてみればあまりに不運な出来事続きだし…
厳しい現状を把握できたポジティヴな敗戦


公募に落ちてしまって若干ショックではあります。しかし、『今のままでは色々ダメなんだ』と厳しい現実を思い知らされ、(むしろ落ちて良かったのかも)と思っています。
学振DC1に当たって以来、それまで帯びていた緊張感がいつしか失われてしまっていました。ゼミ然り、論文然り、研究に関するあらゆることへの我武者羅さが無くなっていたのです。
自分は決して賢くありません。メンタルは弱いし、手先も器用ではない。おまけに顔もイマイチ。もはや救いようのないダメ学生です。唯一の取り柄は『何事にも我武者羅に取り組める』こと。ハマった時の没頭力だけは胸を張って「強みだ」と言えます。DC1の内定に慢心し、己の唯一の武器さえ危うく手放そうとしていたのです。このままじゃダメだ。我武者羅さを取り戻さなくちゃ自分が自分ではなくなってしまう。D2での国研内定もこのままじゃ危ういと分かりました。正念入れて研究しなくちゃこの先どうなるか分からないぞ。
今回のチャレンジは非常にポジティヴな敗戦です。現状を知り、緊張感を取り戻し、やるべきことを明らかにできた。下を向く必要は一切ない。もう一度自分の闘志に火をつけ研究に邁進する所存。数十年後、JSPSに「アイツを落とさなきゃよかったな…」と後悔させられるほどBIGな研究者になってやる。絶対に見返す。覚えておけよ…
最後に:本プログラムに落ちても留学へは行きます
若手研究者海外挑戦プログラムに不採択となった敗因の考察は以上です。敗因を各個撃破し、次回の何かしらの公募ではチャンスを掴めるよう精進したいと思います。
本プログラムに落ちても学振DC1の予算を使えばオックスフォードへ留学に行けます。ギリギリの生活を強いられるけれども、まぁ、きっと何とかなるでしょう^ ^
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