「バス乗り場への入場料を払え」だと…?!
宿を6時半にチェックアウト。8時発・ブダペスト行きのバスに乗車すべくバスセンターへ。ユーレイルパスを使わなかった理由は、バルカン半島ならではの時間のルーズさが乗り換えに致命傷となりかねないからだ。”乗れる”と期待していた列車に乗れず、当日中に目的地まで辿り着けない可能性を天秤にかけた上での決断。SIMカードを挿さず、ネット環境に頼らない私はバス乗り場を探すのでさえひと苦労。オフラインでも使えるように地図をダウンロードしてはみたものの、スマホの指す方角がまるで頓珍漢な方向を示しているのでスマホさえもアテにならぬ。
己の嗅覚だけを頼りにどうにかバスセンターを嗅ぎ当てることができた。(さて、入場しよう) とバス会社から送られてきたQRコードを係員に見せるも、「その前に12番窓口に行け」となぜか引き返させられた。指示通りに12番窓口に行く。「あのおっちゃんからココに行けって言われたんですけど…」『入場料払って』「はっ?」『だーかーら、入場料払って。220RSD [280円]』「分かったよ…」とバス乗車口への入場料を取られた。バス乗り場への入場料を取られたのは人生で初めてかもしれない。こんな所でお金を集めなきゃいけないほどセルビアは貧しい国なのか…
指定されたのは41番のバス停。私の目にはどうしても38番までのバス停までしか見当たらなかったので困った。ハリーポッターの9と3/4番線の如く、どこか適当な壁に突進しなけりゃ41番搭乗口へたどり着けないのだろうか?私はマグル。魔法族に属していないので、いくら壁に向かって突進したって血だらけな身体と嘲笑を手に入れるだけだろう。人ごみをかき分けて41番のバス停を探す。あったあった。バス停の一番北が41番だった。バスにもBudapest行きと記載されてある。今回は時間に余裕を持ってバスを探り当てることができた。
バスの背もたれは質の良い人工皮革。長時間座っていても熱のこもりやお尻の痛みを最小限に抑えられそう。足元も広々。コレなら楽勝だ。乗車率はベオグラードを出た時点では60%程だったが、一つ先の停車駅で乗客が入ってきてほとんど満席となった。
国境管理所で5時間待ち
このバスは8時ベオグラード発→14時ブダペスト着の予定。セルビア側の国境管理所には10時半ごろ到着した。国境管理所はベオグラードとブダペストのちょうど真ん中あたりの地点に位置する。11時に着けば万々歳のところ、10時半に到着したわけだ。半端なく良いペースじゃないか。一体どうしたってんだ…?順調すぎて気持ちが悪いぞ。
本日はここからが大変だった。セルビア側の管理所到着後、出国スタンプを押して貰えるまでにバスの中で1時間待たされた。ブルガリアの出国時は30分ほどしか待たなかった記憶が。やはり大国・ハンガリーへ入国する人はそれなりに多いってコトか。
続いてハンガリーへの入国審査を受けるわけだが、なんとバスの中で5時間も待った。11時半に待ち始め、スタンプを押して貰えたのが16時半。辛すぎてマジで気が狂う5秒前だった。「いつまで待てばえぇねん…」と小声でブツブツ文句をこぼした。朝から飲み物を口に含んでいない。水を買ってからバスに乗車したかったのだが、昨夜、宿の近くのスーパーは軒並み閉店、駅前の出店はクレジットカードを使えず水を入手できなかった。喉が渇いてカラカラになった。干乾びそう。誰か、助けて…!意識がハッキリとせず、少し朦朧としてきたようだ。こりゃマズい。どこかで水を入手しなくては。
喉が渇いているにもかかわらず、尿意を催すから人間の体は不可思議だ。尿を分解して体の水分へ再利用するシステムが備わっていればいいのに。トイレはもちろん有料だ。300HUF [120円]、または100RSD [130円]、または1EUR [150円]の利用料がかかる。幸いにもユーロを財布に入れていた。イギリス出国時、手持ちのポンドを全てユーロに換えていたのだ。係員に10ユーロ札を渡す。おつりに9ユーロ貰って小便を排出した。
トイレの横には自販機があった。水にコーヒー、それにペプシもある。ハンガリーフォリントでもユーロでもどちらでも購入できる優れた自販機。日本なら円と米ドルの両方で決済できる形になるだろうか?トイレで崩したユーロの硬貨を何枚か入れて水とペプシを買った。バスに戻り、直ちにペプシを開封してガブガブ飲んじゃった。乾いた体へ細胞レベルまで糖分と炭酸が染み渡って最高の気分だ。セルビアから持って来ていた食べかけのパンを口に放り込み、エネルギーチャージは万端だ♪
5時間待ち、ハンガリーへの入国審査をようやく受けられた。”ハンガリー”と書いたが、本当は『EUへの入国審査』となる。ハンガリーはEU加盟国。本旅行ではブルガリアに次ぐ第二か国目のEU加盟国。今後、隣国のオーストリアやスロバキアなど、EU加盟国へ移動する際には出入国審査を受けずに済む。電車にバス、飛行機にフェリーなど、交通手段を問わず、超楽ちんな移動が実現するわけだ。出入国審査だけで数時間も失われるだなんて本当にバカみたいな話。出入りを自由にするだけでもの凄く大きな経済効果があるのではないか?
乗客は皆、疲れ切っていた。そりゃそうだ。14時に着くはずのバスが16時半に中間点を通過したというのだから。ブダペストに着くのは果たして何時か?19時ごろの到着かもな。ブダに着くのがあまりに遅すぎるとスーパーが店じまいをしてしまうよ。買い物ができない。飯もお預け。明日の朝まで飢餓状態を凌ぐのは難しいかもしれない。
やっと着いた…
バスターミナルに着いたのは18:20。10時間を越える長い長いバス旅だった。電車に10時間乗り続けるよりも体の消耗度ははるかに大きいかもしれぬ。座席に座り、同じ姿勢をキープするのは予想以上に体に堪えるようだ。あぁ、疲れた。もう長距離バスに乗るのは御免だ。幸い、本旅行では以降、バスへの乗車が予定されていない。一日最長6時間程度の電車旅で隣国へ次々と飛び移っていく。
TESCO!最高の宿…!
宿への道筋を思い切り間違え回り道してしまった。19時前に宿付近へ辿り着けるはずが、19:15ごろの到着となった。最寄りのスーパーはどれも19時ごろ閉店するようだ。イギリスよりかは日曜の営業時間は長いものの、土日関係なく遅くまでやっている日本よりは早く店じまいをするようである。
明日の昼までの絶食を覚悟した。その時、遠くの方に見慣れた赤と青の灯りを発見した。アレはもしや…TESCOじゃないか?Google mapsで確かめてみると、やはりアイツはTESCOだった。「テスコ!テスコ!テスコー!」と発狂しながら走って店舗に向かった。イギリスで今生の別れを告げたはずのTESCOにこんな所でまた会えるとは僥倖。今晩と明日の昼以降に食べる食材をカゴ一杯に放り込んだ。いっぱい買ってもイギリスで買う半値以下で出費を抑えられた。クレジットカードだって使える。ハンガリーではキャッシュを最低限引き出すだけで済むかもしれないな。
にしても、使い慣れたお店の存在がこれほど心強く感じられるとは。TESCOに入って買い物をしただけで今日一日の疲労が吹き飛んだ感がある。
本日の宿は1Fにバーが、2Fより上に客室が備えられている建物。4泊でおよそ5,000円。受付で観光税 (宿泊税だったかな)として追加で新たに1ユーロ徴収された。
”一泊千円ちょっと”と聞いたら (果たしてどんなボロアパートだろう…?)と想像するかもしれぬ。コレが全然違うんだな。フカフカの布団に大きな枕、最高の調理器具が備え付けられている。今まで泊まってきた中で一番の居心地の良さを感じられる。このドミトリーになら長期間住めそう。4泊5日の滞在を予定していたが、場合によっては1週間泊まるかも。
ベオグラードの宿では火力不足で作れなかった目玉焼き。ブダペストの宿は火力十分。少し焦げ付いてしまうほど十分に火を通すことができた。チーズとベーコンと一緒にパンへと挟んでガブッとかぶりつく。美味い…!一日ぶりに味わうまともな食事に思わず嘆息しながらしっかりと味わった。デザートにはTESCOで買った柿を食べる。柿さえ食ってりゃ医者要らず。豊富なビタミンCが体の隅々にまで行き届いて病気に罹りにくくなる&病気を治してくれるらしい。ちょうど今、かなり重度の喉風邪に悩まされている所。ブダペスト滞在中は毎日、あるいは毎食柿を食べて風邪を完璧に治しておきたい所。
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