ウィーン美術史美術館
ゴホッ!ゴホッ!という重々しい咳き込みで目を覚ました。朝方になると熱は下がるのだが、咳き込みは一日中続くため苦しい状態に何ら変わりはない。痰は赤色と黄色の混じった様相。赤は血の色、黄は老廃物の色だ。痰の濃さや粘っこさが増していっているような印象。早く日本に帰って療養に努め、身体を楽にしてあげたい所だ。
どういうわけか、外の冷たい空気を吸うとたちまち発作が収まる。外出中は咳き込まずに済み、この点だけは安堵している次第。今朝も宿から観光を開始。まずは中心部へと歩みを進め、芸術の街・ウィーンを象徴する【美術史美術館】を訪れた。入場料は€21 [3,300円]。豪華絢爛な外装にお金相応の価値を見出し、気持ち良くお支払いを済ませた。
入った瞬間から雰囲気が変わった。360度どこを見渡しても「うわぁ…!」と感嘆の声が漏れ出てくるほどの壮麗さ。天井に見とれ、エントランスで10分ほど止まって景色をこの眼にとくと焼き付けていた。綺麗。なんて美しいんだ。人間が作ったものとは思えないほどの圧倒的な”美”に立ち眩みがした。
正直、芸術のことはあまりよく分からない。美術館の説明書きもドイツ語だけだし何が書いてあるのかイマイチ不明瞭。しかし、ハンガリーの博物館と違い、見ているだけで目が喜ぶ展示品が数多く置かれてあった。金色でピカピカの装飾品、周囲に落ち着いた雰囲気を放つ壺など、個性豊かな展示品は見るだけで十分楽しむことのできるものだった。€21を出す価値はあると思う。私なら€30でも入ってしまうだろう。
高校のとき倫理の授業で見かけた一枚の有名な絵を発見した。画面中央の左側に天上界を指すプラトンが、中央右側に地上界を指すアリストテレスの歩く様子が描かれている。ギリシア哲学を語るうえで不可欠なこの絵がウィーンにあっただなんて知らなかった。アテネかテッサロニキあたりにあるものと勝手に思い込んでしまっていた。この絵は横幅15mはありそうな巨大な絨毯の上に描かれている。こんなに大きくてきれいな絵をよくもこれほど精緻に絨毯の毛の上へクリアに描けるものだ…
最上階から開花を見下ろすと、2Fに設けられているカフェが目に入った。きっと世界で一番豪華なカフェじゃないだろうか?私なんかがお邪魔しても良い雰囲気ではなさそうだったので立ち入らず。
市内散策
美術館の前にあったホーフブルグ王宮へ。かつてオーストリア帝国を支配した旧ハプスブルク家の宮殿。現在はオーストリアの大統領の家として使われているようだ。入場は有料。€10ぐらいかかるそう。美術館でお腹いっぱいまで見るものを見たばかりなので入らず通過した。
ウィーンの中でもとりわけ高いシュテファン大聖堂のお膝元にて。12世紀に建造され、旧ハプスブルク家の墓地として、またモーツァルトの結婚式場として使われていたようだ。343段もの階段を昇れば、地上137mからウィーンを一望できるスポットがあるらしい。ソコへ入るためには€6.5 [1,000円程度]必要。体調が悪かったのとお金相応の価値を見出せるかが不安だったので入らないでおいた。
馬術をやっていた者としては見逃せぬ乗馬学校があった。学校の前には馬車が並び、建物の中からは馬の駆ける足音がする。中へ入って観たかったのだが、馬の走る様子を見られるチケットは今日、販売されていないらしい。馬具や馬術の歴史を知られる博物館なら開いていたのだけれども。「な~んだ…」とガッカリして学校を後にする。あわよくば馬に乗せて貰おうと考えていたので気落ちする結果に。
グッタリ疲れて外食へ行けず
4時間程度の外出を終えて帰還。部屋に着くや否や、「あぁ、疲れた」とベッドにあおむけで大の字になって倒れ込んだ。たちまち重度の咳き込みが始まる。昼寝しようにも苦しくて寝付けない。いてもたってもいられず、近くのスーパーで夕食用の食材を仕入れた。せっかくウィーンまで行ったにもかかわらず、外食ゼロで次の街へと向かうことになってしまうのか。仕方がない。身体への負担を鑑みれば外食にそう易々と繰り出すのは難しいだろう。
帰国まであと6日。あと一週間足らずで自分は何を得られるだろうか?
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