ケンブリッジに日帰り観光へ
今日が一日を観光に費やせるロンドンでの最後滞在日。”何かユーレイルパスを使った旅行を”と考え、ケンブリッジへ行くことに決めた。ロンドンからケンブリッジまでは特急電車でおよそ1時間。往復でも2時間。ちょっとした日帰り旅行に最適な場所。ケンブリッジはもともと私の留学候補地の一つだった。オックスフォードとケンブリッジとを天秤にかけて、悩みに悩んだ末、オックスフォードを選んだ。オックスフォードであんな悲惨な目に遭うと知っていたらケンブリッジを選んでいただろう。自分の選ばなかった道が果たしてどのようなものだったのか見ておくための訪問でもある。
ハリー・ポッターでおなじみのキングスクロス駅へ。ケンブリッジ行きの列車は10番乗り場から出発するようだ。ケンブリッジ駅までの停車駅はゼロ。80km以上もの道のりをノンストップで爆速走行する。ちなみに、キングスクロス駅には観光客の写真撮影用に別途9と3/4番線が設けられている。壁に埋まったカートを持っている姿を係員に撮ってもらえるので記念にいかが?
途中、信号の都合か何かで列車が途中停車した。しばらく経っても動かず、結局、ケンブリッジへ30分の遅延で到着。そんな遅れで感じたストレスをスッカリ打ち消すかのような蒼天。昨日に引き続き天気に恵まれてラッキーな滑り出しを見せた。
ケンブリッジ駅から中心街まで歩いて20~30分。オックスフォードよりもケンブリッジの方が駅と中心街との間が離れているようだ。ケンブリッジを訪れる観光客のほとんどは駅からバスで移動しているみたい。オックスフォードを訪れる方の大半が徒歩を選択するのとは対照的。私は歩くのが好きなので徒歩1時間圏内なら余裕で歩いてしまう。歩いた方がゆっくりと街並みを観察できて楽しい時間を過ごせる。
ケンブリッジの象徴・キングスカレッジ。古くは1441年に創設され、以来、イギリスの総理大臣や著名な学者を数多く輩出し続けている。WWIIでドイツ空軍の暗号を解き、空襲を防いだ数学者・チューリングもこのカレッジの出身なのだそう。世界トップクラスの人材を生み出すカレッジを観ようと思ったら、残念ながら建物が工事中で全貌を捉えられなかった。ガイドブックの表紙に載るような華やかな写真を撮れるはずだった。鉄骨と枯れ木に挟まれた残念な姿しか見られずに残念。
ニュートンが万有引力の法則を着想したリンゴの木を発見。木から落ちるリンゴを見て『地球に引き付けられているんじゃないか?』と考えたニュートンは天才だ。私だったら”リンゴが落ちちゃった!腐る前に食べなきゃ!!”とリンゴの心配を先にしてしまう笑。まぁ、リンゴアレルギーなので食べたくても食べられないのだけれども。そんなニュートンはケンブリッジのトリニティ・カレッジ出身。ニュートンと同時期にケンブリッジに居た方はニュートンの万有引力の法則を聴いてどう思ったのだろうか…?
ねじやボルトを一切使わず組み上げられた数学橋を発見。幾何学的な模様からただの展示物かと思ってしまいがちだが現役でバリバリ使われている橋だそう。橋の下にはパンティングをする舟が。ケンブリッジ大学の学生が銭稼ぎのため、漕ぎ手として街を案内してくれるらしい。時間に余裕があれば舟に乗りたかった。ちょっと今日は忙しいのでパスさせてもらう。
最後にケンブリッジ大学が運営するフィッツウィリアム博物館へ。オックスフォードに大学が運営するアシュモレアン博物館があったように、ケンブリッジにも大学の秘蔵品を惜しげもなく公開する文化があるようだ。入場は無料。”芸術品は誰のものでもない”という素晴らしい理念に深々と御礼。オックスフォードの博物館は骨董品中心の展示。それに対し、ケンブリッジの博物館の中心の展示物はヨーロッパ各国の絵画。西洋画の価値を解さない (解せない) 私にとってはオックスフォードの方が面白かったな。建物の大きさや展示品の数もオックスフォードの方に軍配が上がる。
荷物を回収、お土産を購入
ロンドンまで戻り、パディントン駅の近くのお土産屋さんでスーツケースを回収した。3週間前に預けた荷物が無傷で手元に戻ってきた。”さて、帰ろうか”と踵を返した刹那、店員さんが『荷物を預けてくれた人は、お土産を買ってくれたら10%オフにするよ!』と言った。”それならば”と、肩にかけて使う小さめの鞄を購入した。北大の入学式で貰ったボロボロの手提げ袋を持って日本へ帰るわけにはいかぬ。一応イギリスへ留学したのだからそれなりに綺麗な格好で帰りたい。£50の所、£40にまけてくれた。20%オフになっている気がするのだが、彼の計算は大丈夫なのか?
100万ポンドの夜景…?
ロンドン最後の夜は高い所から夜景を見ることに決めた。ヨーロッパで一番高い展望台【ザ・シャード】に足を運ぶ。高さも高けりゃ (200m越え!) 入場料も高い (£28.5, 5,000円越え!)。普段なら絶対に入らない所だが、”最後の晩だから”と財布のひもを緩めて入場した。こういう所でケチり続けたせいで大学時代、彼女にフラれたのだ。使うべき時にお金を使える体質を努力して養っておかなければならない。
肝心の夜景は?というと、正直イマイチだった笑。肉眼で見る分には綺麗なのだが、どうしてもカメラへ綺麗に納められない。それもこれも展望台を覆うガラスが二重だったせいだ。展望台側のガラスに反射する照明や人の姿は誤魔化せても、外側のガラスにチラチラと反射する照明までは誤魔化せない。これなら外でシャッターを切った方がよほど素敵な写真を撮れるんだけどなぁ…笑。まぁ、5,000円近く払ったし、撮れそうな範囲で何とか撮ってやるか。
ザ・シャードを降り、橋の上からタワー・ブリッジをボーっと眺める。いよいよ明日で留学が終わっちゃうんだな。嬉しいような、寂しいような複雑な気分。日本に帰られるのは嬉しい。母国語でコミュニケーションをとれる幸せは他の何物にも代えがたい。何と言っても米を食べられる。帰ったらお腹がはち切れるまで食べてやろう。しかし、歴史あるイギリスの街並みをもう見られないのは悲しい。札幌には石畳やそびえ立つ尖塔など、歴史の重みを感じられる建物が一切無いのだから。きっと札幌では目に映るモノ全てが随分と味気なく感じられてしまうのだろうな。どっちが良いのか自分でも分からない。日本か、イギリスか… どっちも好き過ぎるせいで。
最後の夕食は
イギリスでの最後の夕食は外食!、、、といきたかった所、ホテルの近くに良さそうなレストランが無かったのでSainsbury’sで買って済ませた。インド風カレーにグラタンのセット (£5.5, 1,000円ぐらい)。小学生が考えそうなメニューだなぁとぼんやり考えながら会計。まぁ、自分らしくていいじゃないか。精神年齢が小学生のまま身体だけ26歳に成長したのだから。子供部屋おじさんにだけはならぬよう注意しなくちゃいけない。大学院を出たらさっさと就職し、自分が生きるのに必要なお金だけでなく実家への仕送り分も稼ぎたい。
あぁ、本当に今日で海外生活がおしまいなんだな。3日後から日本での生活が再開するのが未だに信じられないでいる。
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