
明るい話題

今月の目玉は4泊5日のエディンバラ旅行だった。思い通りに進まない留学生活のうっ憤を晴らすための小旅行。初日、丘から眺めた景色は忘れられない光景となった。歴史の深みを湛えた圧倒的な街並みに、うっとりと見惚れてしまった。
街の中心に聳え立つウォルター・スコット記念塔は圧巻の存在感。黒い塔は初めての経験で、その佇まいに魅了された。エディンバラ城や美術館でスコットランドの文武両面を堪能し、小高い山への登頂も果たした。高所恐怖症が絶賛発動し、危うい場面もあったが、今では良い思い出だ。
イギリスでの生活には確実に馴染んできた。先月と比べ、英語の聴き取りもわずかながら向上を感じる。しかし、これが明るい話題の全てだった。
暗い話題
先月から切望していた安全講習を、ようやく受講できた。しかし、これは新たな課題の始まりに過ぎなかった。講習係からの返信が途絶え、限界を感じて強い口調のメールを送信。「マジでごめん。すぐセッティングする」との返信が15分後に届き、11月20日に講習が実現した。一瞬の安堵感も束の間、新たな壁が立ちはだかることになる。
渡航から2ヶ月が経過するも、実験開始の見通しは立っていない。サボりではない。土日も返上してラボに通い詰め、実験開始への道を模索した。しかし、三つの大きな問題が立ちはだかっている。
第一の壁は安全講習の複雑さだ。11月20日、訪問開始から50日目にしてようやく一般講習を受講。だがこれは序章に過ぎなかった。ラボでの実験開始には、10個以上の専門講習が必須となる。一つの講習に50日を要した計算では、500日もの時間が必要となる。WEB講習の申し込みから10日以上、未だに連絡すら来ない状況が続いている。
第二の問題は実験装置の不具合だ。主要装置「グローブボックス」が中旬まで故障していた。修理後も内部コンディション検査用のセンサーが破損したままだ。得られるデータの信頼性に大きな疑問が残り、論文での使用は困難。実験実施と使用の両面で行き詰まっている。
最も致命的な第三の問題は、実験試料の未到着だ。ラボの秘書に発注を依頼してから1ヶ月が経過しようとしている。試料なしでは実験のしようがない。自作は不可能だ。受け入れ先のボスへメールを送るも、返信は皆無。英語が拙いために無能扱いされているのかもしれない。掲載済み論文数ではラボの誰よりも実績があるのに、それを示す機会すら得られない。
この三重の困難を一挙に解決することは極めて困難と判断。11月24日、オンラインで指導教員に現状を報告したところ、「そりゃ厳しいね」と大災害級の困難さを認めていただいた。
ではどうするか
苦渋の決断を下した。オックスフォード大学への留学を12月29日で打ち切る。これ以上の滞在は、収穫なき時間と資金の浪費でしかない。明日にでも切り上げたい気持ちを抑え、礼儀として12月までは在籍を続ける。
しかし、すぐには日本へ帰国しない。当初の予定通り3月29日まで欧州に滞在する。12月29日からロンドン帰国便までの3ヶ月間、ヨーロッパを縦横無尽に放浪する新たな計画を立てた。もちろん私費での旅だ。
ヨーロッパ33カ国の鉄道が乗り放題となるEurail Passを発見した。JRの青春18きっぷを強化した感覚だ。33カ国の完全制覇を目指す。ただし、パリなど治安の悪い地域は慎重に避ける。
電車の車窓から景色を眺めながら、静かな内省の時間を持ちたい。ペーパーバックを片手に英語力も磨く。まさか放浪の旅となるとは予想もしていなかったが、これもまた一つの留学の形だ。悔いのない旅にしよう。

次月の予定
12月29日のホームステイ先との別れまで、あと1ヶ月。咳き込む音に悩まされる生活ともお別れだ。
ロンドンのヤマト運輸支店からスーツケースを研究室へ発送予定。5万円近い送料が研究室経費で賄えるのは大きな助かりだ。浮いた費用で旅行中の贅沢も可能になる。1月2日までロンドン市内を巡り、3日から本土へ向かう。最初の目的地は秘密だが、出発直前にブログで明かすつもりだ。
体調管理には細心の注意を払う。特に食事面での注意を徹底したい。

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