大学受験数学の勉強法|高一で数学を全範囲独習。基礎の不定着で浪人し、基礎の見直しを経て北大数学143/150

札幌と筑波で電池材料研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2) です。2017年3月に北大総合理系へ合格し、学士・修士・博士と合計八年間北大に在籍しました。

大学受験で最も苦戦した科目が数学。学校の定期試験や模試では高得点を取れたものの、現役時代の京大二次受験ではたった3割しか取れず、不合格の主犯格に。浪人時、基礎から徹底的に見直しました。努力が実り、浪人時の二次試験ではほぼ満点を獲得できたのです。

この記事では、大学受験数学をどのように勉強したか書いていきます。数学で伸び悩んでいる方、数学の成績向上の糸口を知りたい方にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

中3:学年順位1位。内職を始める

チンプンカンプンだった英語と違い、数学は最初から授業についていけました。学校の成績も悪くはなかったかな。270人いる学年で中1では100位前後、中2では英語の成績の伸びに合わせて順位が上がって30位前後に。代数は得意。方程式の解を求める問題はすぐできるようになりました。一方、幾何分野は若干苦手。小学生のころから図形的・立体的思考が不得意でした。補助線を引いたり別の視点から図形を眺めたりすることがうまくできないのです。脳内のワーキングメモリが不足しているがゆえ、複雑な図形問題を出されたとき脳内処理が追い付かず、キャパオーバーになっていました。

高校数学の授業は中3の4月から開始。通っていたのは中高一貫校。中2までに中学範囲の数学を終わらせ、中3から高2で高校範囲の数学を終わらせるカリキュラム。使用していたテキストは数研出版の体系数学。受験数学の理解に不可欠な内容がコンパクトにまとまっていて勉強しやすかったです。あまりに分かりやすいものだから、授業進度を無視して一人で先取り学習を開始。一学期の終わりには教科書を最後まで学習し終えていました。定期試験の成績は1~5位。”なんだ、授業を聞かなくても分かるじゃん♪”と、以降、授業中に内職で数学を独習しようと決意。内職しても成績は落ちませんでした。騒いで授業の邪魔をしているわけではないから先生に怒られることもなかったかな。

高1:青チャートで理系数学全範囲網羅

体系数学の唯一の欠点は『演習問題に解説が付いていない』こと。教科書や問題集の巻末には略解しか記されていません。解説は教科書や問題集と別冊子になっています。解説冊子は教師が職員室内で大切に保管しているようです。これだと勉強するのに超不便。一度、職員室に行って数学の先生に掛け合い、解説冊子を配ってくださいと懇願しました。残念ながら「ダメです」とすげなくお断り。解説を配ってしまったら生徒の考える力が養われないだろう、と。先生の本音は「解説を配ったら俺らの仕事がなくなるから💦」でしょう。解説さえGETできれば先生の講義など本当に要りませんから。分からない問題の解き方を知るために内職の手を止めて黒板を見るのが煩わしい。面倒すぎて頭をかきむしるほどに…

ふと閃きました。解説がなくて困っているなら、解説付きの問題集を買えば良いのではないか、と。解説が配られるのを学期末まで待っていては独習が捗りません。解いたらすぐに解き方を確認できた方が高効率だし、学力も高まっていくでしょう。書店で数研出版の青チャートを購入。例題で解き方を学び、演習問題 (EXERCISE) で解法の定着度を測りました。面白いほどサクサク勉強が進む。解説があるだけでこんなに捗るのだなぁ、と感動。一学期にI・Aを、二学期にII・Bを、三学期にはIIIを独習。高一の間に理系数学の全範囲を一人で学び終えました。

学校のテストは基本的に満点。内職で青チャートを進めながらも、教科書傍用問題集の試験範囲をゴリゴリ演習していたからです。定期試験では問題集から出題されます。問題文そのままの形で出題されるか、あるいは文中の数値を少し変えて出題されるか。いずれにせよ、問題の解法を知っていれば解けるのです。ミスにさえ気を付けて臨めば満点は堅かったです。

高2:新数学スタンダード演習で問題演習

私の受験数学勉強で悔やんでいるのが、「青チャートを極めなかった」こと。例題と演習問題を解けるようになっただけで満足してしまいました。章末問題や総合問題を解かなかったのです。数学で真の実力をつけるには一冊の問題集を完璧にやり切らねばならぬのに、青チャートを使い切らぬまま他の問題集へと移ってしまいました。高2の私が抱いていたのは誤った思想。”少しでも多くの問題集をやれば数学の実力が高まっていくだろう”と。実際のところ、真逆だと思います。手を出す問題集の数はなるべく少なければ少ないほど良いのです。問題集を完成度が低いまま五冊こなすのはダメ。一冊の問題集を繰り返し解いて完璧にしておく方が実力が上がります。せめて章末問題はやっておくべきでした。例題の演習で習得した解法がちゃんと自分のものになっているのか確認できたのに…

愚かな私は青チャートを”終え”、新数学スタンダード演習 (スタ演)に手を出しました。新しい問題をガンガン解いて実戦力を強化しなくちゃと息巻いていたのです。ほんと、なんで青チャートの章末問題をやらなかったんですかね。青チャートをやっておけばもっと実力が上がっただろうし、余計な問題集代を費やさずに済んだのに。後悔はさておき、スタ演に着手。青チャートより数段上の問題群を前に四苦八苦。自分には不相応な難しい問題集だったのでしょう。背伸びをやめ、青チャートに戻って勉強し直すのが最善の道。”難しい問題をやった方が実力が付く”との誤った思想のもと、スタ演を一年間やり続けてしまいました。

かめ

現役時代の受験の最大の敗因は、不相応なスタ演へ挑み続けたこと。自分には難しすぎて解けず、実戦力をつけられなかったばかりか、基礎力の向上にも失敗して時間を溶かしただけに…

高3:入試レベルの問題演習

紆余曲折の末、一年かけてスタ演を一周やり切りました。本当は実力などほとんどついていないにもかかわらず、スタ演をやり切ったのが変な自信を生む結果に。”もっと難しい問題をやろう!”と、今度はやさしい理系数学 (やさ理)へ着手。やさ理は全くやさしくないことで有名な問題集。難しくて歯が立たなかったスタ演より難度は一段上。せめてスタ演を解けるようになってからやさ理へ挑むのが正解でした。スタ演の定着さえ覚束ない状況でやさ理へ取り掛かるのは自殺行為。

案の定、やさ理は全然解けません。解説を見てもサッパリ意味不明。スタ演以上に不相応だったのです。この時点でやさ理攻略をあきらめ、スタ演か青チャートに戻って勉強し直せば良かった。受験本番がどんどん近づいてくる。なのに、受験レベルの問題が解けるようにならない… 焦った私はやさ理の問題の答えを丸暗記して済ませてしまいました。考えても分からないなら覚えるしかないだろう、と。試験で同じような問題が出されれば解けるかもしれない。似たような問題が出されなければ?そんなの知らん。

夏と秋の京大模試でそれぞれ農学部B/A判定。得意の英語で点数を稼げたのが大きく、かなり良い成績を残せました。数学も決して悪くはありません。偏差値55~60程度の結果。ここで私は三度目の思い違いを犯します。「今までの勉強法は合っているのだ」と。合っているわけがないじゃないか笑。間違いだらけだよ。青チャートからやり直せよ。試験で偶然点数が取れたのを自分の実力だと勘違いしたのです。解き方を知っている問題が出たから解けただけに過ぎません。

勉強法が間違っていると気づかぬまま、受験シーズンが到来。センター試験 (現・共通テスト) に備えて25年分の過去問を解き、本番ではI・Aで88点、II・Bで96点を獲得。センターから二次試験までの間は京大理系数学25か年に集中。難しい問題を前に頭を抱えながら、解けそうな問題を探して一問ずつ解いていく。せめてスタ演をやり直せばよかったですね。スタ演すらままならない状態で京大の数学など解けるわけがありません。二次試験では数学で撃沈。60/200という壊滅的な出来。当然といえば当然でしょう。圧倒的に基礎力が欠如していましたから。青チャートを途中でやめた時点でこの結末が見えていました。基礎力の定着を怠ったが故の不合格。

一浪:青チャートで基礎の見直し。新数学スタンダード演習で問題演習

浪人してまず取り掛かったのは数学勉強法の反省。何がおかしかったのか、どうすれば良かったのかを時期ごとに振り返り、上に記したような多くの勘違いに思い至ったのです。

まず、基礎の見直しに取り掛かりました。青チャートの問題を題材に、本質を理解できているかを入念にチェック。章末問題も総合問題もやりました。 (最初からこれだけをやっておけば他の問題集を買わなくて済んだだろうに…) と強く後悔。基礎を作り直したおかげか、章末&総合問題がサクサク解けます。夏休み前には解けない問題がなくなり、夏休みからはスタ演に着手。現役時代と違い、スタ演が簡単に解けてビックリ。いかに自分の実力が高まったか、いかに過去の自分が基礎力不足だったかが分かりました。12月半ばまではスタ演のみ演習。全統模試や大学別模試で偏差値70オーバーが当たり前に。

現役時と同じくセンター試験の過去問を解き、対策して臨んだ本番ではI・Aで96点、II・Bで満点。センターから二次試験まではスタ演の復習と北大理系数学15ヶ年の演習。若干の苦手意識があった確率&複素数分野攻略のため、北大数学50年を入手して特定分野だけ演習。これだけやったら点数はちゃんとついてきます。本番では143/150。小問が一問だけ分からず、あとは全部解けました。

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